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1ドル80円の----円高の本当の原因 [政治]

一ドルが80円になった。なぜ、こうも円高になるかという理由を考えてみよう。為替レートというのは普通は安定したものだ。輸入消費が増えて外貨が不足するとドルが高くなり輸出が促進される。輸出が増えて外貨が余ればドルが安くなり輸入消費が促進される。これが為替レートがバランスする仕組みだ。

ところが、この10年間日本は輸出が増えるばかりで一向に輸入消費が増えない。輸入はもっぱら原料であり、これはさらに輸出を増やす元になる。関税が高いせいだとして関税を下げた。設備投資を増やせばインフレになるだろうと金利を下げた。それでも一向に円高は止まらない。

これは、通貨の根本のところに目をつむっているからだ。日本では輸入に見合って輸入消費が増えないことが根本の原因なのだからこれを解決する以外にない。輸入消費を含めた消費を増やすというのは平均給与を上げることだ。給与が増えても貯蓄するだけという層の収入を増やしても意味がない。貯蓄がなく、給料があがればすぐ消費に回るといった層の賃金をあげるべきなのだ。

円高になれば、賃金を下げてコストダウンを図るという企業のまちがった対応を規制しなかった政府の責任だろう。いや、通常は企業がそんなことをしようとしても労働組合が許さない。アメリカでもフランスでもストライキは]日常茶飯事だが、日本では労働運動が抑圧されて、ストライキもめったに見ないという異常な状態が何年も続いている。健全な労使の緊張関係は実は資本主義に必要なことなのだ。

どこの国でも労働者側におされて少しづつの賃上げはある。給料が上がった結果として製品の値上げがあった。ところが日本では給料が下がっているという事態だ。インフレの国の通貨が安くなりデフレの国の通貨が高くなるのは理の当然だろう。労使関係のアンバランスが実は円高の本当の原因だ。労働法の根本的改正が必要で、企業と労働組合の癒着を廃する必要がある。そうでなければ、日本は円高と賃下げの悪循環でこのまま地獄を見続けるだけである。

現在のように労働組合が企業別に組織されていれば、癒着が起こるのは当然で、労働組合は本来、職能別に再編されなければならない。職能別組合というのは、溶接工労働組合とか組立工労組があって、ニッサンであろうとトヨタであろうと、横断して加盟する組合だ。その職能の賃金を交渉するのだから企業とは癒着のしようががない。

営業労働組合、経理労働組合、プログラマ労組とかもあるべきだ。日本で職能別組合に近いのは医師会とか調教師会、弁護士会で、これを見れば職能別組合が強力であることがうなずけるだろう。

------<追記>---------------
大分前の記事だが、2014年現在為替相場は100円まで戻してきている。しかし、ここで書いたように、賃金の上昇といった根本対策が取られたわけではない。自動車などのメーカーが現地生産の体制を進めて、輸出が減ってしまったからだ。円高の根本原因がなくなったわけではなく、事態はよりまずい方向になった。円安は、ドル換算で、賃金がさらに下がったと同じ結果をもたらす。日本経済そのものの弱体化でしかない。
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