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オレオレ詐欺と下請け制度 [社会]

一時ほどではないが依然としてオレオレ詐欺の被害が続いている。その金額たるや毎月何億円にも及び、活況はあきれるばかりだ。

なぜこうもオレオレ詐欺が続くのかと言えば、詐欺が成り立ちやすい世相もあるが、犯人が捕まらないことが第一の原因だろう。オレオレ詐欺の検挙率は実に低いというか、主犯はほとんど捕まっていない。

オレオレ詐欺で捕まるのは、銀行から現金を引き出そうとした手下とか、銀行口座の名義貸しをした手下ばかりである。これらの手下は犯罪の下請けをしたに過ぎず「共謀」には加わっていない。オレオレ詐欺の特徴は完全な分業下請化にある。

「ある日見知らぬ男から銀行からの現金引き出しを頼まれただけ」、「弁護士と名乗る男から、代わりに電話で振込先を伝えたくれと頼まれただけ」、「カラの通帳を売っただけ」というのが捕まった犯人の言い分だ。勿論、何らかの謝礼を受け取っており、自分の行為が犯罪に結びついている事を薄々は感じていただろうが、行為そのものに罪の意識はなかっただろう。目的が何かを詮索しないのが下請けの掟だ。共謀がないから主犯の捕まりようがない。

不法投棄も同じことだ。一流会社は廃棄物処分会社に毒物の処理を頼む。値段が安ければ怪しいと思うのだが、依頼に犯罪性は感じない。処分会社は小分けして下請けに出す。下請け会社は運送会社に運ばせる。運送会社は運ぶだけだ。荷受人は少量の事だからと中身を知らずに投機する。いちいち中身を詮索するのは業界仁義に反する。

住宅ローンの返済が滞れば、当然のこととして銀行はサラ金を紹介する。これでどのようなことが起こるかうすうす予想できても銀行員に罪の意識はない。サラ金は利子を積み上げ厳しい取立ての後、街金を紹介する。これでどのようなことが起こるかうすうす予想できても罪の意識はない。街金はここまで来たのは当人の責任として債権をヤクザに売る。そして水商売への転落と家庭崩壊があったとして、もちろんヤクザにも言い分はある。それぞれの段階に犯罪性はないということになるだろう。しかし、これを全て同一の銀行員がやればおそらく罪の意識は大きい。

現代社会は仕事が細分化されている。下請けして全体がわからなくなる。当然、犯罪性も消える。これには注意する必要がある。自分の仕事として紐を引っ張っただけでも、実は遠くで誰かの首を絞めているかもしれない。
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