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ほうれん草は食べられないか---暫定基準の不合理 [原発]

茨城県産のほうれん草に暫定基準を越えた放射能が検出され出荷停止になったという。暫定基準値というのは2000Bq/kgだと言うから、これを全部食ってしっかり体内に残ればホウ素が崩壊してなくなるまでに合計44μShの放射線を浴びることになる。

一方で空気中のホウ素も通常値をはるかに越える0.3μSh/hが東京でも日々記録されているから特にほうれん草を食わなくても呼吸で空気を吸い込み、一週間で72μShを浴びていることになる。誰もほうれん草を1kgも食わないし、大抵生で食べずに洗ってしかも茹でるから、放射線はこの一桁下である。普通に食い続けても今更気にするほどのこともない値だ。

ほうれん草の放射能に関しては政府が言っているように「直ちに健康に影響がない」。もっと正確に言うなら「いまさら気にするほどの値ではない」が正しい。それでも、法律で定められているのだからということで出荷停止にするという処置が世の中を不安に陥れている。出荷停止では「危ない」としながら、国民への説明としては「危なくない」というダブルスタンダードが問題なのだ。

この「暫定基準」というのが明らかにおかしい。これがどのようにして決められたかというと実は何の根拠もないのだ。まさかほうれん草を食って実験するわけにも行かないし、事故による記録もそんなに事例があるわけではない。だから1986年に必要が生じたときに「識者」を集めて適当に決めた値だ。

1986年にチェルノブイリ事故が起こったとき、農産物の輸入に検査値基準を適用した。ウクライナの農民が出荷に困ろうが知ったことではない。なるべく厳しく決めてしまえということになった。

当時、ソ連の原子炉と日本の原子炉は根本的に異なり、チェルノブイリは日本の原子炉と関係がないと宣伝され、チェルノブイリ事故に関しては大きく被害を強調することが推奨された。ウクライナの野菜は基準値に引っかかったほうが良かったのだ。1976年のスリーマイル事故の時はかなり扱いが異なる。この時はアメリカからの輸入野菜について何の議論もされなかった。

国内の基準については正式に議論されたことは無く、輸入制限値がそのまま暫定基準として使われることになった。国内でも温泉などで放射線のかかる野菜もあるのだが、まあこのくらいなら引っかかることがないだろうということで引き継がれた。原発事故の場合など想定していない。だからちぐはぐな値のままなのだ。

そういったいい加減な政治のあおりで風評被害を受ける農民はたまったものではないだろう。振り回される消費者も同様だ。

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