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原発事故の「信頼できる情報」 [原発]

原発事故の報道の中でデマに惑わされないように、しっかり政府広報を聞くことが大切だと繰り返されている。しかし、政府広報なるものが果たして信頼できるものだろうか? 信頼されていないというのが現実だ。

不動産屋に物件の事を聞けば必ず「お買い得」だと言う。別の物件のことを聞いてもやはりお買い得と言われるとだんだんわからなくなる。これは不動産屋には売り買いさせて利益を挙げようという魂胆があるからで、聞く側は相手の立場を割り引いて受け取らねばならない。信頼できる不動産屋は、ものによっては、これはお買い得ではないと言ってくれる不動産屋だ。

原発事故の解説も、何が起ころうと「ただちに健康に被害があることはない」と言うのは国民に安心させようという魂胆ばかりが目立つようになり、信用を失う。最初は胸部X線との比較で大丈夫だといい、線量が増えてくると胃透視と比べて安全、そしてさらに線量が増えればCTとの比較になる。どのような線量であろうと結論は「ただちに健康に被害があることはない」なのだ。

やはり、安全だというには安全の基準を明らかにしなければならない。事故への対応にしても、こうなれば危ないがこうなれば安心と伝えておけば信頼されるだろう。あと追いで安全を強調すればそれだけ不安がつのる。たどった経過は、最初はメルトダウンがないから大丈夫、次には炉心が健全だから大丈夫、さらに水素爆発があっても格納容器が健全だから大丈夫と言う次第だ。

情報を出さないのも信頼をなくす。事故が起こって最初の2日くらいは線量すらも出さない。出しても数時間前の値に限られる。一週間くらいは線量を出しても核種は出さない。放射線が炉心からの放射能の漏洩であることがはっきりして、沃素が出れば半減期が短いから危険でないというコメントをつけて出す。セシウムが出れば局在しないから安全だというコメントをつけてだす。吟味して安全だとコメントできる情報だけを出すようにしていると受け取られる。

視聴者に要らざる心配をさせないのが解説者の任務だというのはわかるが、やりすぎだ。「今後こうなれば危ないがたぶんこうなるから大丈夫でしょう」「この値がここまで上がれば危険ですが今のところこれだけですから大丈夫です」といったものの言い方をすればはるかに信頼されるだろう。

しかしながら、「危ない」と発言したコメンテータが次々と番組から降ろされるところを見るとそれもなかなか難しいのだろう。あとは、不動産屋と話しているつもりで割り引いて聞くという聞き手の技術に頼るしかない。
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