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仮設住宅の不足問題 [原発]

津波をかいくぐって生きぬいた避難所人口が10万人あり、なんとか一息ついた。次の段階として仮設住宅の建設が問題になっている。被災地の安全な土地が少なく、仮設住宅建設の目途が立たない。現在のところ計画できているのは1万人分だというから、全くたりない。

仕方がないから、他の土地への移住を勧めているというが、当然被災者達からは不満の声が上がっている。これは住み慣れた土地への愛着だけではない。バラバラになって全国に散ってしまったのでは声が弱くなる。復興に向けた要求もまとまっているからこそ通るのであって、ばらばらではうやむやにされて終わる。そのことを肌で感じているから被災地では地元に拘るのだ。

これは、単に仮設住宅で終わる問題ではない。「本設」住宅の方がさらに問題だし、仕事をどうするかという問題もある。これは国や自治体の協力がなければ解決の仕様がない。バラバラになって全国に散ったのではだれも面倒を見てくれなくなる。だから被災者は地元にこだわり結束を大切にするのだ。

しかし、土地がないというのは絶対条件で、やがては現実を受け入れざるを得ない。政府や東電にとってはこれが正に狙いどころなのである。1年後には仮設住宅を追い出されるし、結局のところ個人の住宅の再建に手を差し伸べてくれはしないのだ。仕事にしても、タダでさえ就職が難しく競争が厳しい。被災地の出身だからと言って仕事を譲ってくれはしない。どこまで結束を保って国に支援を要求できるか、これが被災者の正念場だろう。

今度の被災者には農業などの自営業者もおおいが、これまた問題が山積している。機材や工場の損失は大きく、すでに何千万円かの借金を背負っている。事業を再建するにはさらに借金して億の借金を抱えねばならない。当面の資金の融資はあるいはあるかもしれない。しかし、それはやはり借金ではある。

農業や酪農は資金効率が悪い。普段から500万円の利益を挙げるためには、肥料や、機材、苗などで5000万円からの借金をした上に、朝から晩までの労働をつぎ込まなければならない。一億の借金を返すにはどれ位の耐乏生活が強いられるかを考えると気が遠くなる。

年収500万円なら、会社勤めなら何の資金もなく、土日を休んでさえ手に入る。比較したら農業の未来に確信が持てなくなるのも当然だ。漁業も同じような状態で、結局たまたま代々その土地に住んでいたという、行きがかりからその産業を担ってしまった人たちによって続けられてきたのが現実だ。

この人たちにもう一度億の借金を背負わせて畑に送り出すことに何の後ろめたさも感じないでいいものだろうか。日本の産業構造を根本的に転換し、経済成長よりも適正配分に主眼を置いた政治が行われないことには救いようがないのだが。今のところ政府はもちろん、時間が経って被災者の声が弱くなるのを待っているばかりであり、そんな政策転換などやるそぶりもない。

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