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TPP--アジアの成長力を取り込む? [政治]

TPPをめぐる議論が行われているが、反対論は、食料主権だとか、医療制度の問題とかいろいろ挙げられているが、賛成論が、どうもはっきりしない。工業製品の輸出には関税が安いほうが有利だというのはわかるが、その関税がもうすでにほとんど無くなっている。いまさらTPPに参加してところで意味は無いのだから賛成論の論拠にはならない。

賛成論の中で、時々出てくるフレーズが、「アジアの成長力を取り込む」というものである。TPPでそのようなことができるのだと言う。具体的にどうなのかの説明がないとこれは理解できない。

言うまでもなく、アジアの多くの国々は発展途上であり、外国の資本を受け入れて、安い労働力を供給しながら、工業生産力を高めてきている。これが「アジアの成長力」というものだろう。最近では安い労働力と言うより、安い技術力になってきている。

TPPで、まるで国境が無いかのように、自由な企業活動ができるようになると、確かに資本をアジア諸国に投入しやすい。つまり、「アジアの成長力を取り込む」というのは、工場をアジア諸国に移転するということだ。

企業は、アジアの安い労働力を使って、生産をすることができて、国内と同じように、別工場の部品を組み合わせられたら、コストダウンが実現できる。他の会社との競争にも勝てそうだ。企業にとってTPPは魅力的だ。

だがしかし、工場を海外移転して、日本の従業員はどうなるのだろう?TPPで海外移転が、ぐっと自由になれば、多くの会社がやるだろうから、海外移転しない会社はコスト高で競争に負ける。

国内で生産を続けるなら、派遣を使って徹底的なコストダウンをやるほか無いし、正社員も賃金を下げるしかないだろう。会社は海外生産で利益を上げられるが、従業員はたまったものではない。

「アジアの成長力を取り込む」というフレーズも正体がわかってしまうと、労働者としては、賛成の論拠ではなく、反対の論拠になってしまう。

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