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原発にしがみつくのは愚策---実は火力発電が安い [原発]

一時は政府も脱原発を唱えたのだが、揺れ戻しが起こっている。日本には資源がないから原発に頼らざるを得ないとか、原発をやめれば電気代が上がるとか様々な理由が挙げられているが、全てウソである。

日本に資源がないのは、そのとうりだ。しかし、原子力資源もなく原発燃料は100%輸入だからこれは理由にならない。原発が安くつくなどと言うことは、あの福島の被害補償を考えればとても言えないことだろう。そのうち金に困った田舎町が安く原発を作らせてくれるだろうと考えているのかも知れないが、それは甘い。

実は福島以前から原発のコストは高く、火力のほうが安上がりなのだ。英国のエネルギー委員会報告によれば、メガワット時あたり、原発が80ポンドに対して火力は55ポンドである。あれこれ細かく積算するよりも、アメリカでは1977年に着工したルイジアナのリバーベンド発電所以来、一つも原発の建設は行われていないという事実が最も説得力がある。アメリカは原発の本家であり、経済が全てを支配する国である。そのアメリカで原発の建設が行われず、替わりに天然ガスによる火力発電所がどんどん建設されているのだ。こちらの方がコストがかからない証拠と言える。

ところが、日本では原発が一番安いという「試算」があちこちで公表されていると言う不思議な情況がある。なぜ、日本の火力発電が高コストかというと、いろいろある。原発の推進費用まで火力のコストに入れてしまっているのは論外としても、一つ大きいのは古い石炭・石油火力に基づいていることがある。日本が原発にばかり力を入れているうちに、世界の火力発電は進化をとげ、現在主流のガスタービン発電機は昔のものに比べて格段に効率が高い。

原発は結局のところ蒸気機関であり、熱力学的効率は決して高くない。石炭や石油で動かす蒸気機関も同様だ。熱力学で云うカルノー効率は入口出口の温度比で決ってしまうのは物理学の原理だからこれはどうしようもない。高々100度近辺でしか運転しない蒸気機関は原理的に効率が悪いのだ。

ところが最新のコンバインド型ガスタービンエンジンは直接燃料をタービンに入れて1400度の高温で回し、さらに排出ガスで蒸気を作りこれでも発電する。つまり、蒸気しか使わない原発部分はおまけレベルのものなのだ。

現在の日本ではエネルギー使用のうち実際に役立っているのは30%でしかない。このエネルギーロスの中で最大のものは火力発電のロスである。火力発電を最新型にするだけで10%の省エネが出来、炭酸ガス排出量の目標も達成できる。天然ガスはCO2が少ない。

原発を推進するためにこういった火力発電の技術開発を抑えて来た日本の政策立案者は真から頭悪い。一足飛びに再生可能エネルギーを志向するのが難しいなら、つなぎは火力発電で十分対応できる。天然ガスはまだ100年位持ちそうだから、その間にゆっくり検討すればよい。

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