SSブログ

特区なら何でもやり放題----解雇特区 [経済]

大阪の橋下市長が解雇特区を申請すると言い出したとき、まさかと思った。勝手な解雇は労働法違反の犯罪であり、いくらなんでも犯罪特区はみとめられないだろうと思った。ところが政府がこれを検討し、認可の方向だというから驚く。ブラック企業特区だとして、圧倒的に批判が多い。

何にでも、政府擁護の論調を張る人はいる。賛成論をネットで検索して見るとやはりあった。

その一つはこの特区ではブラック企業が育たないというものがある。ブラック企業は、社員が辞職せず劣悪な環境で労働し続けることを望むので、解雇特区は魅力的な存在にはならないというのだ。もちろん、そんなことはない。どのブラック企業も社員の回転は早い。次々に雇っては使い捨てにするのがブラック企業の手口だということは知れ渡っている。泣き寝入りせずに職場環境を改善しようと立ち上がる社員を首にできるのは大きな魅力だ。

一つはこの特区は外国人雇用が30%という限定がついており、外国企業を誘致しやすくするのがその本質だとするものだ。外国には解雇制限がなく、いかにも日本の環境が特殊であるかのような言い方だが、これはおかしい。外国でも解雇の制限があり、フランスなどは日本よりもはるかに厳しい。アメリカでは解雇の自由が原則であるが、そのかわり、雇用保険は100%会社が持つし、一年つとめただけでも、失業手当が最長2年(99週間)と言う手厚さだ。日本の雇用保険制度で解雇権を乱用することは人権侵害の範疇になる。外国人がみな高給取りではない。フィリピン人を使った介護企業、ペルー人を使った養豚、中国人を使った裁縫企業など、外国人を低賃金でこき使うブラック企業も多い。

解雇を大学院修了者に限定するという案も検討されているようだが、大学院修士はもはや高学歴ではない。就職試験に失敗して大学院に行くケースもある。大学院に行かなければ首にならずに済んだのにという変なことも起こる。研究職場ではポスドクと言う立場があり、5年契約だったりするが、特区になれば、常勤でもいつでも首にできることになる。アカハラ(アカデミック ハラストメント)が横行して、若手研究者の能力を削ぐことになるだろう。

残業代を支払わない自由な労働で能力の高い人を高給で雇うのだからという擁護論もある。しかし、裁量労働制はすでに多くの専門職種で認められているし、管理職なら残業代はいらない。ことさら、特区で認定しなければならない残業手当てなしの雇用とはどんなものなのか?能力の高い人を高給で雇うことにはならないのは明らかではないか。特に専門的な職種で無い人を「定額使い放題」にすることでしかない。

中には、やる気の無い人をさっさと解雇するほうが、やる気のある社員の励みになるという賛成論もある。これは結構複雑な話だが、結果的には「やる気のある」かどうかではなく「気に入られる」かどうかで決まることを考えなければならない。本当に排除したいのは、ろくに仕事もしないで「気に入られる」ことに専心しているやつだ。こういう連中は必ず生き残る。こういう人事問題は、雇用規則とは別の問題である。

特区はごく一部で、自分の住むところは関係がないと安心してもおられない。特区に支店を作って、首にしたい社員を支店勤務にすると云う手口も横行するかもしれないし、本社を特区に移転して、全国の社員に大鉈を振るうことも考えられる。そもそも犯罪を特区として許すなどというのがおかしい。放っておくとカジノ特区というのも出てきそうだし、賄賂特区や政治資金特区さらにはセクハラ特区まで出てきかねない。やりたい放題が続いている。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 1

おかしな消費税報道タイで働く若者 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。