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リニア新幹線のからくり [社会]

JR東海がリニア新幹線を建設するという。資金9兆円は全額自社で負担して建設すると言うことだ。このことが好感を持って受け止められていたりする。いまどき公的資金をあてにしない事業も珍しい。自然破壊ややたらな電力需要の増加で原発を助けるなど、この計画に対する反対論もあるし、必要性に関しては誰をも納得させられていないと思われるが、JR東海が自分の金でやるのだからということで、大きな反対運動にもなっていない。

私企業が立ち上げる新事業なのだから、少なくとも何らかの目算があっての事だと思うのが普通であるが、実は目算は立ってない。立ちようがないのだ。

東京と名古屋を約40分で走る。現在の1時間半より、かなり早いのではあるが、品川駅は地下40メートル、名古屋駅は30メートルの地下に建設されるとなると乗り換えに時間がかかり、実質の時間短縮はたった30分になってしまう。30分短縮されるだけで、乗客がどっと増えるわけでもない。おそらく「のぞみ」からの乗り換えがほとんどだろう。

乗ってみたいと思う人も最初は多いだろうが、山梨の実験線に乗ってみれば、がっかりする。トンネルばかりで何も見えないし、実はガタゴトゆれるから乗り心地もたいして良くない。浮上しているから、飛行機のようにスムーズかと言えばそうはいかない。10cm 以内で高さを固定するには、かなりの硬いばね乗数がいる。だから、観光増客も見込めない。

ではなぜ、収益の見込めないリニア新幹線を作るのか?実は赤字を作るためなのではないだろうか。国鉄の民営化は大変奇妙な分割を行った。北海道、九州、四国は赤字営業が続いており、黒字化の目算は立たない。東日本、西日本、東海は黒字になっているが、その黒字の殆どは新幹線から来ている。中でも東海は新幹線ばかりだから、極端に利益が大きい。

西日本の売り上げは1.5兆円、東海は1.2兆円なのだが、営業利益となると西日本は960億円に対して東海は3493億円だから桁違いに東海は儲かっている。当然のように新幹線料金を取っているが、実は新幹線の運行費用が在来線に比べてそんなに高いわけではない。むしろ駅が少ないだけ費用は安いくらいだ。新幹線はボロ儲けなのだ。設備投資3000億円、研究開発300億円などと一生懸命支出を増やしているのだが、それでも1.5兆円もの余剰金が出てしまっている。

従業員の新卒まで含めての平均給与700万円で、国鉄時代に比べて、幹部はとてつもない高給取りになっているが、このままでは、赤字に悩むJR他社からの風当たりも強くなる。新幹線料金をタダにしろとの国民の要求も出てくることは必至だ。リニア建設費を支出すれば、最高5兆円の負債となるようだが、銀行は平気で貸してくれる。リニアからの収入がなくても、20年もすれば返済は出来てしまうからである。

これは、道路公団が、高速道路料金を値下げせず、次々に高速道路を作って、まるで赤字経営であるかのようにしていたのと同じ手法だ。夢の超特急などと吹き込まれて単純に喜んでおれば世話はない。物事には必ず裏のからくりがある。JR東海が本当にやるべきことは、北海道、四国と合併して、余剰金をローカル線の維持に使うか、新幹線料金を廃止して適正な価格で運転することだ。



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