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防空識別圏を争う愚かさ [国際]

中国が防空識別圏を設定したことで騒ぎになっている。防空識別圏というのは領空侵犯に対する警戒のための空域ということだ。各国は自国の外側に領海を設定して、侵入者を警戒している。領海は12海里という合意が出来ているのだが、飛行機は速いので12海里ではあっというまに飛んでくるから、さらに遠くに線引きをして防空識別圏などと称している。

空は、なにも無いところなので、いくら広げても何も得られない。防空識別圏の主張は単なる意地の張り合いでしかない。各国がお互いに広い防空識別圏を設定すれば、当然重なりが出てくる。これまで中国は、伝統的に紅軍は本土の防衛を担うゲリラ部隊であるとの意識で、防空識別圏を設定していなかった。航空兵力が脆弱で設定しても運営できないという事情もあった。それを良いことに、日本が過大な設定をしていたということだろう。中国が、新たに設定すれば、日本との重なりが生じる。

日本側の設定の仕方に問題があったと言わざるを得ない。防空識別圏は、各国が隣国に配慮して設定している。日本も、ロシアに対しては配慮して、国後択捉を避けて設定している。韓国にも配慮して、竹島は避けて設定している。ところが、中国に対しては、尖閣はもちろんのこと、かなり沖縄から飛び出して、むしろ中国本土に近いところまで防空識別圏としているのだ。

奇妙な防空識別圏の設定は実は米軍から引き継いだものだ。60年代まだ中国が航空機を持っていなかったころに、米軍は中国封じ込め戦略で、大陸沿岸地域まで、制空権を確保していた。この時代の在韓米軍と在日米軍の管轄分けが、竹島を韓国側にして、離於島を日本側にする結果をもたらした。国後などはソ連とアメリカの力関係だった。

中国軍が、航空機をあまり持っていなかったことにつけこんで、かなり強引な設定の仕方をしたことになるから、挑発したのは日本だ。中国の経済発展があって、航空機部隊を持つようになれば、重なりが出てくるのが当然となる設定の仕方だった。中国封じ込めがいつまでも続くわけはない。防空識別圏問題は起こるべくして起こったことだ。

では、これをどう解決すれば良いのか? 一番大切なことは防空識別圏を広げあうということの愚かさを認識することだろう。双方が、尖閣を避けて防空識別圏を小さくすれば良いことだ。竹島や択捉の例を幸いとしよう。離於島は韓国領であるにも関わらず、日本の防空識別圏に入っているくらいだ。防空識別圏は、領土問題とは切り離すことができる。

愚かな意地の張り合いで、いたずらに緊張を高め、貴重な国費を湯水のように浪費することはやめて欲しい。

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