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アベノミックスの終わり [経済]

不安を抱えながら登場したアベノミックスが、早くも末期を迎えている。2012年4月から10月までは、GDPがマイナスだったが、年末には若干黒字となった。これは民主党政権下で起こっていたのだが、変化としては注目されなかった。

ここで丁度政権を受け継いだ安倍内閣はアベノミックスを打ち出した。あまりにも旧態依然の経済政策であり、識者からは批判が相次いだが、時の流れに乗っていたから、1月からプラスを拡大し、ともかくもアベノミックスは功を奏したという評価が生まれた。株価も上がったし、富裕層は潤ったようだ。これが、目論みどおり、庶民にまで及ぶ好景気になるかどうかが注目されていたが、9月以降はあきらかな減少を見た。アベノミックスは早くもたそがれ始めている。

先進国に不可避的に生まれる空洞化現象に対してアメリカが取った対策は、ハイテクシフトだった。日本では、リストラによる経費節減だったことが最大の禍だ。2010年ころまで、コスト削減に支えられて、嵐のような輸出でしのいできた日本経済は、行き詰まりになった。若者の30%が非正規雇用で、研究開発は極端に切り詰められた。これ以上、リストラは難しいところまできてしまったのだ。 貿易収支は赤字が続いている。10月はとうとう貿易外収支を含めて経常収支も赤字となり、円安傾向が続くようになった。

不合理なほどの円高に揺れ戻しがきた。もちろん、円安は輸出には都合が良い。輸出の回復があって自動車メーカーなどは潤ったのだが、これは国民にとってはかならずしも良いことではない。円安で車のドル値段が下がってよく売れるということは、製造コストつまり給料がドルで言えば下がったことと同じだ。

円安が続けば、燃料や食料品などの値上がりが生まれる。暮らしが厳しくなり、国内市場はさらに冷え込んでいく。9月までのGDP増加は、消費増税を見越した駆け込みの住宅需要によるところが大きい。消費増税に間に合わなくなる9月で、住宅受注は、見事に減少し始めた。伸びてきたと思われたGDP統計も下がっている。来年にはまたマイナスになるような様子だ。研究開発が抑制されてきたことの帰結も生まれ始めて、エレクトロニクスなどは、まったく振るわない。このまま、4月の消費税増税につながれば、深刻な景気の悪化が懸念される。

一部には株価が上がっていることだけで浮かれている人たちもいるが、アベノミックスはマッチの火のように、ちょっと明るくついただけで、消えてしまいそうだ。そろそろ株価もピークをすぎて下降に向かう。来年4月以降、多くの国民の生活が危機に瀕することになる。我慢の限界を超えて、政府批判の声が高まるだろう。多分、そのことは安倍内閣にもわかっているはずだ。だから、今のうちに、しゃにむになって、秘密保護法などの、反政府運動を取り締まる手立てを整えようとしているのだ。

長期の見通しも厳しい。中国がGDP世界二位を確定したし、インドも追い上げてきている。第二東名やオリンピックといった景気刺激のような姑息な手段ではどうにもならないところまで来ているのだが、安倍内閣には全く他の手立てが思いつけない。

所得を政策的に拡大して、国内需要を高めること、耐え忍んでも研究開発と国内生産を促進して長期の視野を確保すること。これがなければ、このどんづかりからは抜け出せない。あらゆる無駄を省くのは当然だが、生活を不安定にする社会保障の削減は経済的にも大きなマイナスだ。今切り詰めるのは防衛費をおいて他に無い。そんな思い切りを安倍内閣に期待するのは無理だろう。なにしろ、美しい国日本などと、架空の世界に生きている人だ。

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