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秘密保護法 マンガ宣伝は行き過ぎか? [秘密保護法]

秘密保護法に反対する宣伝に使われたマンガのことを取り上げ、読売新聞がいちゃもんをつけている。これを受けてネット上で反対運動を揶揄している人もいる。

マンガの描いているストーリーは、バードウオッチングをしていた女性が、多くのオスプレイが飛来するのをみて、鳥が逃げてしまうと、あちこちにメールしたら、逮捕されるというものだ。これは果たして大げさな宣伝だろうか?

秘密保護法の別表に「防衛に関する事項」として、「武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の種類又は数量」と挙げてあるから、オスプレイを見たという情報は特定秘密に当たる。

秘密保護法が犯罪としているのは、情報を漏らすことだけではない。情報を受け取る側(24条)も、「共謀し、教唆し、又は煽動(25条)」しただけでも罰せられるし、実行していなくとも未遂で罰せられる。仲間に加わっても、自首すれば刑を免除する(26条)などという密告制度があるなどもたちが悪い。

読売の主張は、常識で考えても、それくらいで逮捕などするわけが無いというものだ。しかし、それは常識で判断できるものだろうか。常識からはずれた逮捕は実際にある。

例えば偽名宿泊がそれだ。宿泊すれば宿帳に住所氏名を書かされる。食中毒があったときの対策として始まったことだ。法律上、偽名でホテルに宿泊というのは、旅館業法違反で、「拘留又は科料に処する」ということになっている。科料とは千円から1万円の軽い罰金で、立小便と同じ類だ。だから微罪で、実際には、だれもこれで処罰されていないといわれてきた。ネット上の法律相談でもそう回答されている。

ところが、産経新聞は11月29日に、「警視庁公安部が、偽名でホテルに宿泊したとして逮捕した」と報道している。次の日にも全く別の人が逮捕されている。新聞記事をたぐれば、結構多い。偽名で宿泊した人が全部逮捕されているわけではなく、警察ににらまれた人だけが逮捕されているというのが実情だ。この記事の場合は、特段犯罪を犯したわけではないが、過激派関連の人物だったということだ。

別に警察ににらまれていない一般人だから大丈夫だともいえない。戦前に猛威を振るった「治安維持法」の時も、「一般人には適用しない」と言っていたが、結果的には何万人もの人が拘束された。一般人も逮捕された瞬間に「犯人」となり、一般人でなくなるのだ。多くの人は見逃されているだけで、警察が逮捕しようと思えばいつでも逮捕できるというのは、恐ろしいことだ。

反対運動のマンガは決して誇大な表現ではない。
-------------------追記--------------------------
このマンガと同じようなことが実際に起こった記録がある。昭和11年の斉藤茂吉日記に家宅捜索されたことが書かれている。息子の斉藤茂太さんは、後には作家・精神科医として知られるが、中学生で、カメラ小僧だった。航空ファンでもあったので、軍事機密である飛行機の写真を写したのではないかと疑われたのだ。結局、何も見つからずに引き揚げたようだが、家中ひっくり返して捜査された。明治32年の"ゆるい"軍機保護法でも、ここまでやったのだ。軍機保護法は、その後改定でさらに厳しくなった。
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