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原発とギャンブル [原発]

賭けを考える。サイコロを3個使って、3つとも1ならば相手の勝ちで、250万円支払う。それ以外の場合は全部こちらの勝ちで1万円もらう。こういった賭けを持ちかけられたら、少し欲のある人なら受けて立つだろう。3つとも1なんてことはめったに無い。まず、ほとんどの場合あなたの勝ちだ。この賭けを10回やって10万円を稼ぐ確率は95.46%になる。

それなら、毎日この賭けをやって大金持ちになれるかというと、そうではない。少ないとはいえ、250万円払うはめになって、すってんてんになることもありえるのだ。149.3回やれば、一回も1が3つにならない確率は50%になるから、だいたい150回くらいで、もとの木阿弥になることが期待される。実は、この賭けの期待値は、マイナス1620円で、こちらが不利な賭けなのである。無限回繰り返せば、一回当たり1620円支払う結果になるという意味だ。

10回やれば、ほぼ確実に10万円を稼げるのに、150回やると赤字になるという奇妙なパラドックスなのだが、これが確率論の不思議なところだ。少ない試行回数では小さな確率が無視できるように思えるが、試行回数が増えると無視できなくなるということに基づいている。

こういった「小さな確率を無視して、まるでいつも儲かるように考えるトリック」は、金融界では常態化している。リーマンショックは、まさにその例である。彼らは、サブプライムローンに投資して、高い確率で儲けを出していた。一挙に大損する確率はあるが小さいとして、これを無視した投資を繰り返していたのだ。リーマンブラザーズは、恒常的に大儲けを繰り返し、会社の幹部は高給を取っていた。大損して破綻する確率があったのだから、起こったことは当然の結果だ。

電力会社が原発を作りたがるのも、こういったギャンブル投資と同じだ。事故が起こる確率が低いからといって、これを無視する。そうすれば、毎日々、確実に儲かっているような気がする。既存設備を使った原子力発電はコストが安いと思っているのだ。しかし、長い目で見れば、いつか大事故が起こって大損しなければならない。もちろん、原発の場合には核のゴミという問題もある。これも、どんどん貯めておけば、当面問題にならないと考えているのだ。後年、その処理にどれだけ掛かるかを考えに入れず、費用ゼロとしているようなものだ。

原発も、投資ファンドも破綻に直面してしまったわけだが、これに懲りたかというと、そうではない。ハゲタカファンドは相変わらず国際金融市場に跋扈し、東電もまたぞろ原発の再稼動を目論んでいる。なぜかと言えば、かれらは、破綻のつけを国に押し付けることができたからだ。どちらも、公的資金を受け取ってしまった。儲かるときには「俺の金だ。自由に使ってどこが悪い」と言い、破綻に直面すれば、払えないと居直り、公的資金を要求する。

jこういった仕組みが、目先の儲けだけを追求することを許している。俺の社長在任中に破綻が起こる確率は低い、だからこれを無視して、長い目で見れば、破綻でマイナスになることを平気でやりつづける。こんな理不尽なことがあるだろうか、大きな会社は、もはや社会的な存在であり、私企業だから自由だと言わせてはいけない。結局、そのつけは、全部、一般の国民が背負わねばならないのだから、十分な監視と規制が必要である。そのために国があるといって良いのだが、国がその役割を果たしているとはいえない。大企業から、政治献金をもらって、いいなりというのが現実だ。
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