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役に立たない政策=研究開発減税 [技術]

技術立国を目指すならば、多少の無理をしても研究開発費を支出するのは必要なことだ。企業に対して、研究開発減税をするのは悪いことであるはずがないと思っていた。とりわけ、中小企業やベンチャービジネスなど、研究費に困っている所には援助するのが国の役割だ。

ところがどうだろう。6000億円を超える研究開発減税の多くが、資金に余裕がある大企業に廻っていたというのだ。一番驚くのは、トヨタで、一社でなんと1201億円もの減税を受けて、少なくとも2013年までの5年間は一銭も税金を払っていなかったという。2014年には2.3兆円という空前の利益を上げて、これを内部留保で溜め込んでいる。

なんの事はない。国の予算の6000億円をトヨタの溜め込みにくれてやっているようなものだ。従業員の給与を増やすでもなく、下請け会社が潤うわけでもなく、国の予算をまったく無駄に使ったことになる。トヨタ以外の研究開発減税を受けている会社も似たようなものだ。内部留保を溜め込んでいる会社は、独自で研究開発すればよい。その資金は十分あるのだ。

6000億円というのは、莫大な金で、多分、大学の研究予算全体の半分以上になる。この研究開発費を本当に必要なところに廻しておれば、日本の技術はもっと進歩しただろう。研究費に乏しい大学では、産学協同などと称して、企業研究と変わらないことをやっている。大学院生をただ働きさせて、企業の下請けをやっているに過ぎない。学術研究の劣化だ。

一方で、企業は、補助金頼みで大学に開発を下請けさせて、独自の開発研究を放り出す傾向もある。近年の日本の技術の衰退は激しい。とりわけ、生産に直結する現場技術は、もう、失われつつあると言う段階だ。中小企業では、技術開発の余裕などなく、技術者を、パートやアルバイトに置き換えるリストラがどんどん行われる。

何年か前に、タイの洪水で工場が動かなくなったとき、急遽、日本の工場で生産しようとしたが出来なかった。タイから技術指導に来てもらうことになった。これが現実である。エレクトロニクスメーカーが、いずれも苦戦している。かつて世界を席巻した面影はもうない。開発能力が枯渇しているからだ。

政府は、研究開発に、まじめに取り組まなくてはならない。このまま研究費を大企業へのばら撒きの手口にしているなら、地獄を見ることはあきらかだ。

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