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都知事選の舞台裏-ー利権の構造 [政治と金]

舛添要一が前代未聞の醜態をさらして、スキャンダル選挙が2回続くことになった。都知事選には、毎回知名度の高い候補者が出て、ある意味盛り上がる。今回も、候補者の選任で色々と目まぐるしい駆け引きがあった。なぜ、選挙前に、ここまでもめるのか?

それは東京都が、埋蔵金がごっそり詰まった宝の山だからだ。国も地方も、赤字財政で予算は緊縮状態にならざるを得ない。しかし、東京都だけは違う。今も昔もずっとバブルが続いている。

大会社の本社がすべて集まっている東京都の税収は、都民一人あたりにして、大阪の5倍、普通の市の10倍はある。ところが、住民サービスは、他の市とあまり変わらない。「国の基準」を言い訳にして、金が有るのにケチったサービスしかしていない。

10倍もある税収の、あとの9割はどこに消えているのか?これが東京都の利権である。東京都の実態は税金山分け機構なのである。有り余る予算を使って、都の事業として、様々な無駄使いが行われている。石原なんかは、大名旅行を繰り返したり、赤字銀行を作ったりしたが、そんな事ではびくともしない。膨大な外郭団体が、天下り官僚の巣窟になっており、政治家たちや利権人脈につながる連中がが甘い汁を吸いまくっている。

実際のところ、都知事の最大の役割は、こうした利権組織の暗躍を「よきにはからえ」と黙認し、適当に仲裁をして利権配分に折り合いをつけさせることであったと言える。自民党は、東京都に18%の得票率しかなく、自民党自体が司令塔になるだけの力はない。利権配分には知事の権限が必須なのである。だからこそ、候補者選びは毎回難航するのだ。

小池百合子が自民党の推薦に拘泥しないのは、東京都での自民党の力量を知っているからだ。石原も自民党とは対立する形で知事になった。二期目からは自民党都連が推薦に回り、民主党も実質的に与党化したが、これは石原がうまく利権集団に溶け込んだからだ。小池もそのつもりだろう。

引退する石原は、独自の利権人脈を残すために、猪瀬を選び、自民党筋とも折り合いを付けたのだが、オリンピックの誘致が決まって、配分シナリオが狂ってしまった。これが、自民党が猪瀬降ろしに熱心だった理由だ。舛添の時より、ずっと対応が早かったという印象は、誰もが記憶するところだ。

舛添の登場は、新たな利権配分に折り合いをつけた結果だ。自民党は熱心に舛添を押したし、都議会民主党も、成り行き上細川護熙についたが実質上は動いておらず、舛添支持のようなものだった。東京都の利権構造にどっぷり浸かった自民・民主は舛添を降ろしたくなかったのだが、共産党の追及に世論が同調するようになり、世論受けねらいの公明党が裏切った挙句、舛添を切らざるを得なくなった。

小池百合子も自民党の国会議員で知名度もあるのだから、わざわざ増田寛也を担ぎ出すこともないだろうにと思われるが、小池の場合、利権集団との折り合いが着いておらず、石原のように、やがて取り込まれることが確実でも、オリンピック利権の執行までに時間的余裕がない。内務官僚として、各地の利権配分仲裁役で実績がある増田の即戦力が必要なのだ。

民進党も、参議院選挙の野党共闘に合わせて、共闘体制を早々と打ち立てることも出来たはずだが、都議会民進党がぐずぐずしていたのは、本音では自民党と相乗りしたかったからだ。しかし、舛添の辞任を受けて、前回のように候補を擁立しないわけにも行かなくなっている。鳥越俊太郎の出馬でやっと候補が決まったという次第だ。

都民にとって、東京都の課題は、こうした税金山分け体質からの離脱であることは明白だ。「国の基準」を大幅に上回る住民サービスを実施して、利権を減らす。これが全国の住民運動を刺激すれば、国民の主権者としての意識が高まり、日本全体の政治を変える大きな原動力になるだろう。鳥越氏にある程度の期待はできるが、利権勢力の「側近」に取り囲まれて、結局何もできなかった青島幸雄のような結果にもなりかねない。病根は極めて深いのである。
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