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「行政がゆがめられた」のは事実---加計疑惑 [政治]

「行政がゆがめられた」と言う前文部次官の前川氏の発言に竹中平蔵が文句をつけていた。「行政を歪めていたのは官僚で、戦略特区はこれを打ち破るものだ」と言う。

加計汚職を官僚批判にすり替えようとしている。前川氏は戦略特区が行政を歪めたと言っているのではない。加計特別優遇が行政を歪めたのである。獣医養成が必要なら全国にどんどん獣医学部を作ればよい。別に特区などと地域を限る必要もないのだ。加計にだけ作らせ、他には作らせないと言うことこそ私物化した岩盤規制である。

事の本質は私物化であり官僚批判や規制緩和とは関係がないのだが、国家戦略特区といった政策手法自体が加計のように行政を歪める危険性をもったものではある。行政は、実情判断の上に整合性を持って進められるものだ。大学に獣医学部を新設するのは、どれだけ獣医が必要かという判断に基づく。

古くから家畜が農耕や運搬に使われてきた日本では獣医が果たす役割は大きかった。しかし、自動車や耕運機が普及するとともに獣医の需要は減って来ている。ペットショップなどで新たな需要を見出して生き延びているのが現状だ。

戦略特区で言っていることは、遺伝子操作など新たな産業創出に動物実験など獣医の果たす役割が大きいと位置付けている。しかし、それは本当だろうか。新設の獣医学部の卒業生がそういった分野に就職していく可能性があるのだろうか。

遺伝子やゲノムといった先端の生物学研究は動物実験をやるだろうがそれに獣医の資格は必要がない。卒業生は従来通り動物病院での診療に携わるしかないとすれば、獣医養成の行政判断を歪めるものでしかない。

前川氏が疑問とした事は、新しい獣医需要というものが従来のものとどう違うかが明確でないと言う事だった。それに対する回答なしに、「総理の意向」で押し切ったことが加計問題の中心だ。産業創出は作文だけで、全く内実がないのだ。

獣医は社会的にも医者と異なり高収入の職業とはなっていない。地方の医者不足が深刻な今、実は医学部の増設を抑えていることこそ岩盤規制なのだが、それには手をつけようとしない。地方自治体による福祉の増強なども国が規制しているが、これにも手を付けない。岩盤規制を打破するなどと言っていること自体がまやかしなのである。

戦略特区は行政判断の議論を飛び越えて進められる。だからこういった「お友達優遇」とか、特定の企業の優遇処置と結びつく可能性が高い。実際に、多くの特区がこうした裏事情で進められているのではないかと疑われる。

戦略特区の正規の手続きとしては、なぜこの地方に特区が必要なのかの申請があって、それが認められた場合に事業者を公募しなければならない。今治は特別な地区で、ここにだけ獣医学部が必要だなどといった理由は見つけられるわけがない。

今治市は最初から加計ありきで特区を申請した。「加計が今治に作りたいと言っているから」以外に理由はないのだ。「総理の意向」で認められることがわかっていたから、公募前にボーリングをしたり、電力会社に契約予定を申し込んだりした。

なぜ、今治にしたか? 担当大臣は教員も確保して準備が進んでいるからだと答えたが、それは論理的におかしい。まだ事業者の公募も始まっていないのだから、教員の確保など不可能なのである。審査は形式に過ぎず、すべて「総理のお友達だから」で決まったことがわかる。安倍のお友達である「加計の特別扱い」であり、それに特区という形式を取らしたに過ぎない。

安倍一強の弊害ここに極まれり。日本という国は総理とのコネですべてが決まる。何の公職にもない安倍の妻に、公務員が5人も秘書として配置されている。総理の意向を忖度して国有地の売却を破格の安値にする。政府が私物化されてしまっているのである。
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