SSブログ

日本に共謀罪がいらない理由 [政治]

テロ防止と言う名目で共謀罪が画策されている。政府は、以前にも共謀罪を導入しようとして国民の反発を買い頓挫した経緯がある。今回は名前を変えてテロ防止法などとしているが、中身は前と変わらず下原案では「テロ」という言葉が一言も出てこない代物だった。共謀罪には別の意図があることが明白だろう。

共謀罪の導入の根拠とされているのが「国際組織犯罪防止条約」である。実際、国際マフィアなどの対策として多くの国が共謀罪を導入している。ただ、この条約は各国がその国の実情に即して有効に国際組織犯罪に対応すればいいとしており、必ず共謀罪を導入しなくてはいけないわけではない。

日本の実情は、他の国とは決定的に異なる点がある。それは、銃砲などの武器所有が、それだけで犯罪になるということだ。アメリカなどでは、銃を持っていること自体は犯罪ではない。テロ組織が銃を持って多数集まっても、まだ犯罪にならない。銃を使ってテロを共謀して初めて犯罪の要件になる。だから、共謀を重視しなければならないのだ。

日本の場合、銃を持って集まればそれだけで十分に犯罪となり、取り締まれる。共謀罪など必要ないのだ。それだけではない。銃の所持が犯罪ではない国なら、むしろ銃の所持が共謀の証拠になる。共謀罪といっても、こういった犯罪の準備があった上での共謀であり、その適用範囲はおのずと限られることになる。

ところが、日本で共謀罪といった場合、これは何の犯罪準備もない純然たる共謀の罪と言うことになる。ただの共謀だけなら何も物的証拠となるものがない段階だ。「密偵」による潜入捜査あるいは「盗聴」が常套手段となり、「密告」が証拠となってしまう。共謀罪法案には密告した場合罪を許すと言う条項が用意されている。共謀罪の導入はこういった監視社会への道なのである。諸外国とは異なるのだ。

純然たる共謀が犯罪ならば、捜査対象は無限に広がる、「共謀するかもしれない」と言うだけで捜査の対象となるからだ。事前に「テロ組織」を定義することはは難しく、国会答弁でも「普通の団体がテロ組織に変わることはあり得る」などと言っている。つまり、普通の団体は全て捜査の対象となると言うことだ。

共謀罪は政府が警察を使って、すべての市民を監視下に置くことを意味する。政府の意にそぐわないすべての動きを監視し、好ましくないと判断されれば、いくらでも「別件」を持ち出して逮捕したり、捜査の過程で見つけたプライバシーを暴露することができる。政府がすべての国民の尻尾をつかんでおこうという仕掛けだ。実に恐ろしいことだ。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。