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最低賃金の引き上げが日本を救う [経済]

政府は株高に依拠して好景気と主張しているが、実質賃金はさがり、格差が広がり、貧困層が増えている。好景気を持続させGDPを上げることで問題が解決するような宣伝をしているが、企業の好業績が賃金の上昇につながらないことはバレてしまっている。

実のところもはや経済成長は重要なことではない。2016年の統計になるが、人口1.268 億人に対して国民所得は431.6兆円ある。一人頭340万円、4人家族なら1362万円にもなる。先進国の生産力は分配さえ適正であれば、誰もが豊かに暮らせる水準に達している。現在の分配が適正でなく、やたらな格差を生みだしていることがこそが諸悪の根源なのである。

生産性を上げるために、技術開発を進めたのは過去の話で、今の金融資本は手っ取り早く情け容赦のないリストラを行い、人々を過労死に引き立てる。僅かばかりの経済成長のために民衆が大きな犠牲を払うのは馬鹿げている。おこぼれで庶民の生活が楽になるはずがない。それどころか、ますます格差を助長して、庶民の暮らしは苦しくなるばかりかも知れない。人々を救う手立ては適正な分配を達成するしかないのだ。

どうすれば適正な配分ができるのか? これには手痛い失敗の経験がある。プロレタリアートが権力をにぎり、国家が生産手段を所有するという社会主義は、確かに底辺労働者の賃金を引き上げたが、国家による細部にわたる強制が必要になった。結局の所、極端な官僚主義を生み出し、市民的自由まで抑圧し、社会の活力を失ってしまった。まだ生産力が低く、資本主義に遅れて経済成長を追求せざるを得なかったことが、ゆがんだ方向に入り込んだ要因でもあった。

生産力が発展した現代にあっては、そういった民主主義の抑圧なく、自由を最大限に保持したまま分配を適正にすることが出来るのではないだろうか。ゴーンのような高給を禁止するのもいいが、新しい法律が必要だとかの問題がある。実施したところで抜け穴だらけになるのは目に見えている。ベーシックインカムを国が保障するという政策もあるようだが、それは格差を許容した上で、弊害を和らげるだけのものだ。膨大な予算が必要になる。

簡単な解決策はすでにある。予算も要らなければ法律改正の必要すらない。最低賃金法を活用して最低賃金を引き上げるだけでよい。最低賃金を1500円にすれば、底辺層の収入は増え格差は確実に小さくなる。1500円は決して無理な額ではない。多くの国ではすでに実施されている。もちろんこれには反対の声があがる。そんな事をすれば。つぶれる会社が続出すると言うだろう。

結構。1500円払えない会社はつぶれてもらおう。どうせ親会社にむしられ将来性はない。経営者はさっさと会社をたたんで、1500円で働く労働者の仲間入りをすれば良い。歓迎されるだろう。低賃金に依拠するしかない会社は消えてもらい1500円払える会社だけが生き残れるようにする経済構造の転換である。実際の所行き詰った日本経済の生き残りは、こういった高付加価値の産業を育成するしかない。荒療治が必要なのだ。

零細企業の倒産で多くの人が失業して路頭に迷うといった脅しがかかる。だが実際にはもっと楽観的だ。下請けの低賃金企業に部品を作らせていた親会社は、部品を調達するために、直接雇用して自社で生産するしかない。もちろん1500円払わねばならない。この程度なら大会社にとってみれば、内部留保もあるし、ほんのちょっと配当を減らせばいいだけだ。これまで、下請け制度を利用して、セコイ利益の水増しをやっていただけだ。

最低賃金を上げることで、確実に消費は増える。だから中小企業でも必要なものの生産なら値上げしても売れる。景気は良くなるから雇用も増える。生活保護などは減り、社会負担も軽減される。結局の所、脅しはカラ文句にすぎない。

1500円の話を進めて来たが、これで適正な分配になるわけではない。実はこれは始まりに過ぎない。これまでなぜ最低賃金を上げる運動が高揚しなかったと言えば、それはあまりに低額て実際に最低賃金で働く人が少なかったからだ。だが1500円になると違う。多くの人々にとって、最低賃金の増減が現実の課題となる。最低賃金が上がれば上がるほど最低賃金で働く人が増え、運動が大きくなって社会が公正な分配に向かって動き出すのだ。

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ゴーンが無罪なら社会が腐る [社会]

地検特捜部がカルロス・ゴーンを起訴した。ゴーンは無罪を主張して裁判での対決となる。世界的有名人であることと、その金額の大きさが注目を集めているが、この裁判の結果にはもっと重大な意味がある。

ゴーン不正の手口は目新しいものでは無い。社長の闇給与は会社の内紛の度に出てくる。勤務実態のない身内に給与を払っていたことは、政治家のスキャンダルでいつも出てくる話だ。個人的な投機やギャンブルの損失を会社に付け替えることもやられている。大王製紙の場合が有名だ。

もし、ゴーンのような巨額の場合にも無罪となったならば、こういった不正を処罰出来ないことになる。世の中に不正が堂々とまかり通ることになるだろう。何しろ会社の社長には、こういった事を自由にやる権限がある。ゴーンに習って、言い逃れを出来るように工作しておけばいいだけだ。

ゴーンが有罪で服役することになっても、同情する人は日本にはまずいないだろう。庶民からすれば10億円もの給料をもらった段階ですでに犯罪だ。社員が汗水たらして稼いだ利益を一人でくすね取ったのだ。リストラで本来貰うべき給料をゴーンに強制的に取りあげられたなら強盗と同じだ。

現在、日本には億を超える給与を取る社長が増えている。ゴーンが就任して、高額の給与を取った時以来の風潮だ。昔の社長はもう少し社員に遠慮したものだ。問題は、役員の給与は全くのお手盛りで、何の制限もないことだ。

ゴーン事件を契機に「役員給与は社員の2倍を上回ってはならない」いった法律を作るべきだ。頑張って業績を上げ、社員の給料を上げて初めて経営者の懐も潤うと言うのが筋だろう。ま、それが無理なのはわかっている。何しろ今の政治は、富裕層第一、経営者第一の「ブルジョア政府」が担っているのだ。せめて庶民も、やりたい放題に甘んじず、文句を言うだけの気概を持ちたいものだ。

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これからの日本はどうなるか(2019) [経済]

グローバル化という世界の大きな流れは変わらない。より多くの人々が国家をまたぎ、より大きな物品・資本が国家を超えて動く。生産も技術も拡散し、アジアの中で日本だけが先進国などという幻想は吹き飛んでしまった。こうした世界の流れの中で国民の豊な暮らしどう守るかが国家の役割なのだが、全く果たせていない。

低金利で見せかけの好景気を維持してきたが、経済状況は厳しくなる。これまで公的資金の投入で支えてきた株高も終わらざるを得ない。ゼロ金利政策は、世界の金融引き締め動向に抗し得なくなる。金融政策の破綻だ。国家財政は極端な赤字に陥っている。問題は長期の低金利・低賃金で甘やかされ切った産業構造だ。

非正規雇用・低賃金を利用した外食、物流、建設が主軸となってしまい、高付加価値産業への転換は結局掛け声だけである。ITは鳴かず飛ばずだし、IPS関連はいまだに政府資金依存だ。家電、半導体からの転換先を、原発輸出、航空機に絞った産業政策が失敗だったことが、いよいよ明らかになった。

東芝は米ウエスティングハウスの買収で大赤字を抱えることになったし、三菱のトルコ原発はキャンセルされた。英国での日立原発も撤退直前だ。安全性を満たせば建設費が跳ね上がり、もはや採算が取れる見込みが無くなったのである。

航空機もMRJの開発が遅れコスト面での破綻は明らかだ。追加資金の投入を続けているが、もうそろそろ限界にきている。これも採算が取れない。ホンダジェットは好調だが、技術も生産もアメリカで、実は日本企業ではない。無駄な補助金のつけはやがて国民に回って来る。

2019年はこういった世界の動向に対する下手な立ち回りが顕在化する年である。新入管法による外国人労働者の流入、外国ファンドによる企業の買収、EPAによる農業の衰退、これらが一気に噴き出してくる。社会不安は増大し、社会保障の削減、消費増税などで国民の生活はさらに圧迫されて行く。

これに対して、末期の安倍政権は、軍事を強化し、排外主義を煽ることで国民の目をそらすことに躍起になるだろう。戦前戦後を通じて日本は正しく、悪いことはみな周辺諸国のせいだという妄想に引きずり込もうとするのだ。マスコミを支配し、官僚を忖度で動かし、ボナパルティズムに進んで行くが、結局は主権は国民にある。どこかで国民は目覚め、踏みとどまる力を発揮するのではないかと期待する。
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禍根を残す入管法 [社会]

入管法改正案をわずかな審議で強引に通した。人手不足で儲けを逃すことを懸念する経営者どもの要望をそのまま受け入れただけのノータリン政策だ。

労働者が足りなければ賃金を上げればよい。高い賃金を払えない企業は縮小してもらう。こうして国全体を豊かな水準にして行くのが政治だ。労働力を低賃金にとどめるために外国人を入れるのは最悪の施策と言える。

少子化で人口が減少するのを補うために正規に移民を受け入れるのはまだ良い。長い目でみればグローバル化・多民族化は必然とも思える。

しかし今回の入管法は問題を生み出す仕掛けが整ってしまっている。低賃金の単純労働者を5年の年限をつけて大量に受け入れる。タダの労働力と見ているようだが生身の人間だ。契約通り5年働いて帰国するなどと言う事にならない。

現在の実習生制度でも同じだが、入国前に働き口が決まっていなくてはならない。だから受け入れ企業と来訪者の間にブローカーが介在することになる。

当然ブローカーは手数料を取る。食い詰めて日本に働きに行こうなどと言う人に旅費や手数料が払えるわけがない。借金として日本に来てからの賃金で支払う契約になる。女郎身売りと同じ年期奉公である。賃金のピンハネに当たる。

新制度でもブローカーには何の資格もいらず規制もない。受け入れ企業もこう言ったブローカーと結託しているくらいだからブラックなことが多い。長時間労働させるし、宿舎費とか研修料の名目でピンハネが横行する。

現在の実習生でも悪待遇に耐えかねて逃亡する人が多い。逃亡すると在留資格が無くなり、不法滞在ということになるのだが、働き口はある。弱みに付け込んで低賃金で働かせることが出来るからだ。当然裏社会的な職場にも流れやすい。

家族の同伴は認めないのだが、実習生から引き継ぐと10年になるから結婚したり出産したりは起こる。日本語しか出来ない子供を連れて今更帰国も簡単ではない。移民は貧困に押しとどめられスラムを形成して行く。

外国人が悪いのではない。しかし、固定化された貧困は非行を生み出す。犯罪は日本に大きな負担を強いるし、これを克服するための社会保障負担も莫大なものになる。

目先の経営者の利益のために拙速な法改正をしたことを悔やむ日が必ずやって来る。
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北朝鮮の未来 [北朝鮮]

核実験やミサイルで世界の嫌われ者になっていた北朝鮮が一転して平和主義を打ち出すようになった。米朝会談でも南北会談でも「我々に核やミサイルはいらない」と明言している。唖然とするような変身ぶりで、制裁解除のための方便だとする見方も根強い。しかし、北朝鮮は確かに非核化の道を歩み始めている。なんとしても制裁を解除してほしいという態度は見せていない。自らの方針として武装解除を宣言したのである。

北朝鮮は朝鮮戦争以来、ずっと戦い続けてきた。国を守るためには軍事力を強化するしかない。国力に見合わない核兵器開発のために国民生活は多大な犠牲を強いられてきた。しかし、北朝鮮の軍事力など大国から見れば物の数ではない。武力で国を守るなどと言うことに展望が見えなくなったのは事実だろう。

金正恩が、世界の政治問題がもはや軍事力で決着する時代でなくなった事に気が付いたとすれば、それは卓見である。アフガニスタンにせよシリアにせよ強国が弱小国を下して問題が決着する時代でないことは明らかだろう。軍事力によるパワーポリティックスはもはや過去のものになった。アメリカも自ら核廃棄をする国に攻め込むことは出来ない。そう読み取ったのならば、軍事費の増強ばかりを考えるアホ晋三なんかより、はるかにスケールの大きい政治家だ。

北朝鮮が軍事から民政に方向転換して、果たして展望があるのだろうか。北朝鮮は経済制裁を受けて久しいが、この間、年3.9%のGDP増加を維持している。これは非常に大きな経済成長ではないが、多くの開発途上国ににとってはうらやましい数値だろう。これが方向転換に踏み切る自信を与えたのだと思う。

アフリカや中東の多くの国は、経済の立ち上げに苦悩している。資源を持ちながらも、それが活用できない。どの国でも、工業化はまず、雑貨や繊維などの軽工業から始まるのだが、近年はそれが難しい。先進国が大量生産した商品が安価で流れ込み国内でこういった軽工業の立ち上げが起こらないのだ。いつまで経っても観光しか売りがない状態が続くエジプトで起こった観光客に対するテロなどは、そういった状況に対する若者の苛立ちをしめすものだ。

日本は江戸時代の鎖国体制により、何でも必要なものは国内生産することになった。鎖国で培われた技術、文化の蓄積が開国後に一気に花開いたのである。現代はあまりにも運輸・通信が進み、低レベルからの産業の立ち上げが出来なくなってしまっている。できることなら、しばらく鎖国するのがむしろ望ましいのだがそれは出来ない。北朝鮮に対する経済制裁は実質的には鎖国状態を作っている。北朝鮮では、ミサイルを作るために、ネジ作りから国産が行われた。石鹸も衣類も、輸入でなく国産が行われ、これが軽工業を立ち上げさせ、一定の経済成長と技術蓄積をもたらせているのだ。

北朝鮮には将来的な資源の展望もある。鉄鉱石と石炭が国内にあることが大きい。これはイギリスで産業革命を引き起こしたものだ。普通に貿易ができる国の場合、資源があっても今の時代に鉄鉱石と石炭の産業は起こせない。洗練された外国製品の流入に太刀打ちできないからだ。しかし北朝鮮は鎖国状態に置かれることで産業革命をやることができる。北朝鮮は経済制裁を産業の立ち上げ、経済発展に利用することができるのだ。

独裁政権と言うのは国民には苦痛だが、経済発展にとっては必ずしも害悪ではない。決断が早く一部に生じる不満を押さえつけることが出来る。イラク経済はフセインの元でそれなりに発展していたのだが、「民主化」で潰れた。中国の急速な経済発展もいわば独裁政権のたまものだ。旧ソ連はスターリンの独裁のもとで目覚ましい発展を遂げた。

これまで軍事に使われていた開発力を強権で民生に回せば、確かに工業発展が期待できる。しかし、豊かになった国民は必ずさらなる豊かさと自由を要求するようになる。金正恩が民生重視転換で国民の満足を得られるのが早いか、国民の意識向上で批判が高まるのが早いかどちらかである。

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