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笹子トンネル事故の原因を考える [技術]

sasago.JPG笹子トンネル事故から2ヶ月、事故の原因が少しわかってきた。建設当時使われた不良コンクリートが思い浮かんだが、今のところコンクリートのせいではないと言われている。アンカーボルトの強度が老朽化で不足していたという解釈に落ち着きそうだ。しかし、これはおかしい。

残されたボルト計183本の強度試験を行ったところ、16本が1・2トンの荷重に耐えられなかった。97本は4トン未満で抜けてしまい、想定上の強度を保っていたのは約4割の70本だった。

接着剤でとめるなんてと思ったが、調べて見るとケミカルアンカーは意外と強力なもので、コンクリートそのものよりも強い。例え30年経っても4トン位の加重が保てないはずが無い。明らかな施工不良だ。接着剤が穴の入り口部分にしか付いていなかったものもあると言うが、接着剤アンプルを穴の底で割る仕掛けだから、本来はそんな事が起きるはずが無い。下穴が大きすぎて接着剤が流れ出してしまったか、全く違う手順で施工してしまったかだろう。

それでもまだ設計荷重に耐えられないものは16本だけだから、耐力にはまだ余裕がある。構造上の欠陥があったのではないかと思えて仕方が無い。

天井板は真ん中で吊るし、両端は棚に載せている。これだと地震で横揺れしてしまう。そして、5mの吊り具は隔壁に緊結されていて曲がらない。吊り具の上端が幅30cm間隔のボルト2本で止められているならば、これは梃子になる。横加重の16倍もの引っ張り力がボルトにかかるのだ。地震の横揺れで、0.2ガルとしても9トンを超えるからケミカルアンカーの耐力に近い。

何度も地震があったし、とりわけ東北大震災でケミカルアンカーが緩んだ可能性が高い。欠陥構造と施工不良さらに地震。これだけ重なっておきた事故だから、当然の帰結だろう。東北大震災の後、打音試験をやらなかったというのは余りにもひどい。

欠陥構造は、どうすれば良かったのか? 建築施工のことは素人だが、力学的には天井板を斜めにして落ちない構造にするだけで良いはずだ。図の赤で示して置く。だいたい、トンネルがなぜ平天井でなく、アーチ型をしているのかを考えれば、天井板だって水平がまずいことは分かりそうなものだ。

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