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年収1075万円以上は他人事か? -「高度プロフェッショナル労働制」 [社会]

厚労省が新たなホワイトカラーエグゼンプションを言い出した。「高度プロフェッショナル労働制」と名づけているが、ようするに残業代ゼロ制度のことだ。現在の法律では、労働者に残業させれば残業手当を払わなくてはいけない。中には、時間で計れない仕事があり、能力があって、短時間に仕事を済ませてしまえる人には、残業代が払われないことになり、不合理だというのがその理屈である。

しかし、その人の能力は給与査定で評価されており、同じ人が余分に働いたときは、それだけ多く賃金をもらうのは不合理でもなんでもない。新しい制度には、必然性がない。

もちろん、いきなり残業代ゼロなどと言うと反発が強いから、歯止めは掛けてある。この歯止めと言うのが実に怪しい。適用できるのは年収1075万円以上の人だということだ。えらく、高収入に見えるが、大企業を中心に、サラリーマンの25%が、ボーナスを含めるとこれ以上になるという。

しかしながら、話は残業代のことだ。この25%のうち、管理職でない人がどれだけいるのか?もともと管理職には残業手当はないのだから、適用範囲は狭くなる。というか、適用される人がいるのだろうか? というのは、管理職でなくとも残業手当のつかない人がすでにいる。「裁量労働制」の職種だ。弁護士資格があったり、博士号を持った研究者、医者などがこれに該当して、すでに残業代なしで働いている。これは今度の制度の対象とはならない。

今度の制度は、特別な資格がいらず、管理職でもなく、年収1075万円を超える人が対象だというのだから、ほとんど、その対象が想定できない。プロ野球の選手などは、年収1075万円を超えるだろうが、サラリーマンではなく、業務の請負契約だ。厚労省の説明では、株式ディーラーなどがこれに当たると言う。しかし、証券取引所の開業時間は9時から3時までだから、管理業務のない平社員ディーラーの残業手当が問題になるとは思えない。

対象となる人が想定できないような法律案を作るというのが、怪しいと言う根拠だ。言うまでもなく、新しい法律を作ると言うのは、大変な作業で、審議会を開いたり、公聴会をやったりで、費用もかかる。そこまでして、こんな法律を、なぜ作らなくてはならないのか。

答えは、おのずとあきらかだろう。法律さえ作っておけば、1075と言う数字はいくらでも改定できる。将来、この数字が小さくなって行くのは目に見えている。「年収1075万円以上か、俺には関係ねえな」と思っている人が、実は狙われているのだ。「安倍仕打ち」は容赦なく襲い掛かってくる。社員が「定額使い放題」になる日は近い。


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