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吉良よし子議員のブラック企業質問 [政治]

日本共産党の吉良よし子議員が、参議院予算委員会で初めて安倍首相に対決を挑んだ。まあ、質問するだけなのだが、「対決に挑む」といった意気込みが充満していた。テーマはもちろんブラック企業だ。

選挙の時からこの問題を取り上げており、当然だと思えるが、選挙時の訴えと議員になってからの行動が食い違っているのが当たり前な風潮の中では、際立って見事な立ち居振る舞いだ。まさに投票した人の期待通りの働きをしている。ツイッターでも共感を示す人がかなり多かったそうだ。

若者の夢を壊して使い捨てにするブラック企業に怒りをぶつけ、政府に対策を迫ると、答えは「確かにブラック企業は良くない。政府はそのための対策を着々とやってます」というのが、お定まりの回答だ。

「ブラック企業なんてありません」とは言えない現実がある。なくなっていないのだから着々と対策を進めているはずがないのだが、「従来からやっている対策」なるものの説明を長々とやって質問時間を終わらせてしまうというのが、いつもの政府側の作戦だ。

議論の流れを追って見ると、なかなか面白い攻防が見られる。のらりくらいと逃げるのを許すかどうか、ここが勝負どころだ。吉良議員の質問は極めて具体的だった。

まず、ゼンショーが運営する「なか卯」のバイト採用試験問題を安部首相にに問う。着替え、社訓の唱和、引継ぎ帳の確認などの始業順序を問う問題だ。

タイムレコーダを押すのは何番目か?

こう問われると安倍首相も一番目と答える他ない。会社がやれと要求することは全て労働時間に含まれる。だから、ますタイムレコーダを押してから、必要なことをやる。それが法律だ。

ゼンショーの「正解」は、タイムレコーダが最後だという。完全な法律違反だ。働かせて金を払わないのは、労働賃金を盗む泥棒に等しい。日本の企業の多くが、こういったセコイ泥棒をやっている。吉良議員はそこを突いたのだ。「もし法律違反があれば、労基署が勧告を出し、常に是正を図っている」厚労大臣はそう言って一般論で逃げる。

吉良議員の追及は続く。ゼンショーは、100回以上も勧告を受けている。知らん顔して違反を続けていたのだ。ゼンショーも認めている事実を厚労大臣に確認すると「個別の企業についてのことは答えられません」である。要するに馴れ合いで済ましており、本当に是正する気がなかったということだ。

ここで吉良議員は、質問を安倍首相に振り向ける。勧告・指導を受けても改めないのは悪質ではないのか? こう問われると安倍首相は、悪質だと答えるしかない。悪質でないと言ってしまうと、何事に関しても政府の勧告・指導を無視してよいことになってしまう。これは口が裂けても言えないことだ。

吉良議員が要求するのは、悪質な企業は企業名を公表しろということだ。悪質な企業の名前を隠してやる必要があるなどと考える人はいない。しごくまともな要求と受け止められる。

名前を公表するだけと言うのは、いかにも緩いことの様に見えるが、実はそうではない。政府が公式に悪質として公表すれば、自動的にそれへの対処が要求される。馴れ合いなど出来なくなってしまうのだ。

このように、吉良議員の質問の流れを追ってみると、実に鋭い。よく考えられた作戦が見える。安倍首相も「貴重なご意見」と言って引き下がらざるを得なかった。 この国会質問の影響は、かなり大きいと思う。始業前にいろんな事をやらせている会社は多いが、総理大臣がタイムレコーダーが最初だと言明したのである。出社して、まず最初にタイムレコーダを押す社員を制止できなくなる。

法律違反のブラック企業があるのに、名前すら公表しないという姿勢への批判も強まるだろう。以前の要求で、企業の離職率を明示しろとということは、一部実現している。ハローワークで、新卒者求人に対しては明示されるようになった。しかし、就職情報誌や再就職の場合には、まだ示されていない。吉良議員の追及はまだまだ続くだろう。

一歩前進を勝ち取るということでは、今回の質問は上出来だった。というか、初めての代表質問としては完璧に近い。こういった議員が多く輩出してくれば、世の中は変わる。テレビ画面では、吉良議員のバックに映った所在無げな自民党議員の間抜け面が逆に目立ってしまっていた。





------<追記>-------
2017年10月 吉良議員の要求したブラック企業名の公開が本当に実現した。厚労省が悪徳400社を公表したのである。これまでグズグズとためらっていた官僚を見事に押し切ってしまった。
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