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都構想で損する大阪市民 [政治]

京大の藤井聡さんが、「大阪都構想:知ってほしい7つの事実」と言う文章を公表して橋下市長への大きな打撃となっている。藤井さんは、大阪都に賛成でも反対でもなく、ただ事実を述べただけだとしているが、この事実を知れば誰も賛成できなくなることは間違いない。

これに対して、橋下さんは公開討論を提起したが、もちろん藤井さんは応じない。橋下さんの「討論」は口喧嘩にすぎない。アドリブのパーフォマンス競争であるから、学者の応じるべきものではない。橋下さんに求められるのは文書による整然とした反論であるが、それは行われていない。

藤井さんが述べているように、これは「事実」なのだから、反論のしようがない。橋下さんに代わって、箕面市長の倉田さんが反論らしきものを書いているが、はっきり言ってこれは反論になっていない。7つの項目をあげて、理由を示さず「違う」と言い張るか、「こんな事はどうでも良い」と言うかのどちらかだ。藤井さんが出している事実の中から、特に反論が難しい、いくつかの事実を挙げておこう。

1つ目の事実は、住民投票で決まっても「都」にはならないということだ。都構想支持者の多くが、これで「大阪都」になり東京と対等になると思っているが、実は、大阪市が無くなり、5つの「大阪府」直轄の特別区になるだけだ。法令に、地方自治法での取り扱いは「都」と同じようになると書いてあるが、あくまでも「大阪府」なのである。都構想そのものが、看板に偽りなのだ。

3つ目の事実として挙げられていることは、これまで市民税として大阪市で使われていた予算が大阪府に吸い上げられてしまうと言う事だ。もちろん、予算の一部は「区」に配分されるのだが、差し引き2200億円が大阪府の財政に使われる。

大阪府の予算であっても、大阪市民のために使われるから損にはならないという反論は倉田さんもしているが、説得力がない。大阪市の人口は、大阪府の3割でしかない。当然府議会の議員数も7割が市外だ。大阪市ばかりに予算を使うわけには行かないだろう。大阪市は、大阪府の中ではかなり一人当たりの税収が多い。会社の本社などがあって法人税も入るし、固定資産税も高いからだ。大阪府としては、税収の少ないところに予算を投入せざるを得ない。

大阪市の税金はもっと千早赤阪村に使うべきだと考えるのはひとつの見識ではある。しかし、実際のところそんな余裕はなさそうだ。「区」には、住民台帳の管理だとか、施設の維持だとか何もしなくても出て行くお金が多い。住民施策として裁量の余地がある予算の中で2200億円の吸い上げは実に大きいのだ。それだけではない。特別区となれば、それぞれに区議会を作らねばならない。議員の数を少なくしたって、議会や選挙にかかる費用は相当なものだ。大阪市一つで済んでいたことが、各区でそれぞれやらねばならなくなる。各地で、費用低減減のために合併が行われているのに逆行する方向だ。結果的に住民サービスはかなり低下することになる。

ではなぜ東京は「都」なのだろうか?実は23区民は、やはり損をしているのである。23区の税収が八丈島に廻されてしまっている。それでも、東京の区は大阪よりも豊かなようだ。これは一重に圧倒的な財政力のたまものである。東京の一人当たりの税収は、大阪のなんと5倍もある。大会社の本社が東京に集中してしまっているから当然ではある。八丈島や周辺都市に多少廻したところでびくともしない。

東京府も、1943年に市をなくして、都になった。しかし、その当時、東京市の人口は東京府の90%を占めていたから、東京市の予算が吸い取られるなどと言う心配もなかった。現在も、23区の人口がが東京都の7割を占めている。堺や吹田、豊中、尼崎といった大都市に分散している大阪とは全く状況がちがうのだ。

大阪都にはならないこと、大阪市の税金が吸い取られること、東京とは財政力が全然ちがうこと、これらは事実であり、反論もできない。大阪市だけでなく他の都市も巻き込んでおれば、まだ可能性もあったが、堺に拒否された段階で、大阪都構想は、すでに崩壊している。にも関わらず、市職員に議論を禁じてみたり、藤井さんのテレビ出演に文句をつけてみたり、公明党への裏工作をしてみたり、悪あがきは、見苦しいかぎりだ。

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