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なぜ二世・タレントばかりが議員になるのか [政治]

日本の国会議員は世襲制の二世議員かタレントばかりだ。血族関係が根深いインドでも世襲が多いのだが、いわゆる先進国で二世議員が幅を利かせているのは珍しい。これはやはり制度の問題だろう。日本でも世襲議員が増えたのは小選挙区制になってからがひどい。小選挙区では強力な議員がいれば、毎回当選者は固定化し、それ以外の政治運動は根絶やしにされる。引退以外に交代はないから、当然後継者指名ということになり、お世継ぎの擁立ということになる。まちがいなく小選挙区制は世襲議員の温床となっている。

引退の時期に対抗馬が出ても、運動期間は極端に短く、付け焼刃の選挙運動では「知名度」がなくて負ける。知名度と言う点で世襲に匹敵出来るのはタレントである。有力なタレントが相手では二世も危うい。日本の選挙では知名度があることが圧倒的に有利なのだ。日本はインドのような血族社会ではない。二世の有利さも、実は選挙区内での知名度によるものだ。知名度がなければ真面目に政策も検討してもらえない。だから、選挙運動もひたすら名前を連呼して知名度を上げる事に専心する。

つまり、タレントと二世の根は同じで、いずれも知名度がものを言うことから生まれる選挙現象なのである。ここで問題なのは、なぜ日本ではそれほどまでに知名度が大切なのかという点だ。2年前からバラク・オバマなんて名前を知っていた人がどれだけいるだろう?彼の政治経歴といえば単なる上院議員でしかも1期努めただけである。アメリカの場合、大統領になるのに全く知名度は必要がないと言える。半年以上の長丁場で度々メディアに露出するから、だれでも選挙戦の最後には超有名人になっている。はじめから知名度がある必要などないのだ。

国会議員については、アメリカも小選挙区制で世襲を生み出す温床はあり、現にブッシュは親子で政治家だ。しかし、日本ほど多くなく、特に問題にもされていない。これは、公職選挙法のちがいによるものだ。アメリカは自由な国で選挙運動の制約がない。ビラも自由に撒けるし、事前運動の禁止などと言うことも無い。戸別訪問してじっくり話すことも許されている。選挙運動の期間に制限はなく事前運動に制約もない。つまり、知名度にかかわりなく十分な時間を使って、政策や人となりを訴えることができるのだ。逆に言えば訴える中身のない単なるお笑いタレントなどは当選のしようがないことになる。

日本の場合「暗闇選挙」と言われるほど規制が厳しい。選挙期間は2週間で、ビラ撒きも禁止、手紙も禁止。ホームページは禁止だし、手作りポスターも禁止だ。これだけ厳しい選挙規制をやっているのは日本と北朝鮮だけだろう。候補者はいずれも不恰好な名前を書いたタスキをかけている。Tシャツやプラカードに名前を書くほうがよっぽど良いと思うのだが、これも厳しく規制されていて候補者の名前がかける場所として、唯一指定されているのが「候補者の身につけるタスキ」だと言う。ようするに、選挙運動なしで候補を選ぶに等しい。だから知名度だよりになる。

どうしてこんなタレントか世襲しか議員になれないような選挙法が出来たかというと。日本の選挙制度は、農村型議員の多い時代に作られたからだ。当時、議員は長い間に培われた地域社会を代表するものであって、政策や主張とはかかわりなく選ばれるべきものであった。面倒見の良さが議員の要件であり、地縁血縁で固めた旦那衆の選挙なのであった。「演説がうまい」「文章が書ける」「政策を提示する」といった都会型要素が考慮されにくいように作られた。その良し悪しはもちろん議論のあるところだが、地縁血縁の地域社会が薄れた後もその制度がそのまま生き残ったために、タレントと世襲が跋扈するという予期せぬ奇形的な状況が生まれた。

公職選挙法が時代にあわないことは方々から指摘されている。現行法ではインターネットも使い様がない。選挙運動をもっとおおらかにして、自由に政策論争ができるようにすべきだ。そうすれば、タレントや世襲の問題もなくなり、多くの有能な議員が生まれるにちがいない。


世襲・タレント議員ばかりになる原因は暗闇選挙にあると断定したが、もう一つ大きな原因があると言われた。それは選挙に対する真剣さの不足だ。古来日本の一般人民は政治の恩恵を受けたことが無い。日本では多くの人がどうせ誰がなっても同じだと考えている。そうなれば、人気投票のノリで選挙をやっても別段なんの悔後もない。昨今のマニフェストとやらで、具体的な公約が争点になれば選挙も変わってくるはずだ。
タグ:世襲制
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