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福島第一原発--事故は人災 [原発]

3月11日、地震報道の直後に福島第一原発の問題が発生した。原発保安の基本中の基本である非常電力が確保できないと言う事態だった。

原発立地で必ず出てくる疑問が地震の対策だ。原子炉自体は制御棒が入って停止するだろうが、炉心が冷却されるまで冷やし続けねばならない。冷却水は緊急用の発電機で供給することになっているが、それが故障したらどうするか。これは何度も住民から質問されたはずである。何台もの発電機があり、十分に余裕がとってあるから冷却水が不足することはありえないと回答していた。

ありえないはずのことが起こった。しかも、第一原発、第二原発の両方、つまり地震に会った原子炉の全てに起こった。その後の発表もひどい。温度も圧力も上がり続けているのに、不足する冷却水で冷やしているから安心しろということだった。この時点でもうダメで、これは行き着くところまで行くかと思えた。金属材料は高温高圧に弱い、弱い放射能を撒き散らすことにはなるが、圧力を抜くしかない。ところが、東電は原子炉からの放射能放出ということを避けることにこだわり、なかなか保護容器を開放しなかった。

そのうち、制御室での放射線レベルが上昇したということが報道された、NHKの解説では何も説明しないが、これは圧力が上がりすぎて配管の一部が破損して放射性の冷却水が漏れ出したということになる。そうすると冷却はますます難しくなるはずだ。午後3時過ぎになって、やっと保護容器の圧抜きが実施されたという報道があった。この保護容器の開放で撒き散らした放射能は公表されていないがかなり大きいはずだ。正門前で1ミリシーベルトとしか報道がないが、大部分は上空大気に放出されている。多分2,3日中にあちこちで放射能が観測されるはずだ。実際すでにかなりの範囲で放射線が観測されているが隠しているのかもしれない。

6時ころになって、爆発の報道があった。あとから実はこの爆発が保護容器の開放直後だったと発表された。手遅れだ。半日前にやっておくべきだっただろう。炉心溶融が始まると炉心の温度はさらに高温に暴走する。配管から漏れ出した高温の水蒸気で発生した水素が爆発したに違いない。ここで、今度は海水による冷却を始めたという。海水を入れて冷やせるならもっと早く入れるべきだっただろうが、海水冷却については実行するまで全く報道されなかった。海水を炉内に入れて海に流すようなもので、広範囲の海水の汚染が当然起こる。しばらくは近海の魚が食べられなくなるかもしれない。その後直接の放射線量が減ったことから、保護容器も炉心も本体は破壊されていないと思われるが、配管などが破損しているから、放射能のさらなる流出は避けられない。

放射能被害は長引くだろう。陥原発を放置していたために大きな代償を払った。欠陥の大部分は人災といえる。おそらく現場では早期に圧力を抜く意見が強かったはずだ。ぎりぎりまでそれをとどめた「経営判断」こそが最大の人災だし、予備電力をけちついた設計そのものがやはり「経営判断」の人災である。情報を小出しにして、一言毎に「人体には安全です」を繰り返し、そのくせ事態がどんどん悪化するというのは大本営発表の再来でしかない。政府はもう少し正直になる必要がある。

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このブログを書いた13日から一週間経った。推測で書いたこともあり、今では少し違っていると思えるところもあるがそのままにしておくので、そのつもりで読んで欲しい。その後も惨事は続いたが1号炉3号炉の爆発はあったものの15日の朝までは放射線レベルはたいした物ではなかった。1号2号3号は同じように運転されていたから2号も厳しい情況にあったのだが、圧抜きも海水冷却も開始がさらに遅れた。ここでもう少し早く手を打っておればその後の高レベルの放射線は防げたといえる。

15日の朝、2号炉の爆発で、かなり遠くまで放射線量が跳ね上がった。核子はヨウ素、セシウムだから間違いなくウラン燃料からの漏洩になる。2号炉はサプレッションプールに破損と発表されたから、小さな漏れではすまない大きな漏れが生じた。空焚きまで行ったというから勿論燃料の保護管は亀裂が入ったりして燃料からの漏洩がある。

その後も4号炉も含めて、使用済み燃料の加熱などで大騒ぎになったが遠隔地の放射線量には大きな変化が見られない。やはり2号炉の爆発が決定的でその後は撒き散らされて拡散したヨウ素の半減期に従ってゆっくりと下がって来ている。なんとかこのまま冷却電力の復活で終息させて欲しいものだ。

それにしても、原発周辺ではしばらく生活不能なのだから、政府と東電は早急に移住を補償する体制を作るべきだ。このことで原発の本当の発電コストがどのようなものかわかっただろう。安全を無視したコスト削減はいつか破綻すると言うことである。原発発電は全く経済に見合わない。
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