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尖閣の地理を調べると、やはり中国領 [尖閣]


前に「使琉球録」のことを書いたが、最近沖縄の地形を調べてみて、やはり尖閣諸島は中国領なのではないかの感を強めた。この海底地図を見ると、日本の本土から離れているようでも、沖縄本島から与那国島までの沖縄列島が日本列島から続く一連の島塊であることがよくわかる。それと同時に、尖閣諸島は大陸棚に位置しており、沖縄列島とは2000mの深い海で区切られていることもわかる。地形的には沖縄列島と尖閣諸島の間に国境を設定するのが自然であって、尖閣諸島の向こう側に国境を設定するには無理がある。

歴史的にも「使琉球録」など中国の公式文書には、古来、尖閣が多く出てくる。航海記では、何度も中国と琉球の国境が示されており、いずれも赤尾嶼と久米島の間である。中国人と琉球人でこの認識は一致している。昔の人たちが、このような海底地形を把握していたわけではないのだが、船乗りには、2000メートルの深海と大陸棚の潮目の違いがわかったのだろう。

どうせ、人間は海の底には行かないのだから、深さは関係がないとも思えるが、実はそうではない。現在、尖閣の周りには天然ガスの資源があると言うことになり、発掘調査が進んでいる。しかし、この2000メートルの深海があるために、日本ではこの資源利用が出来ない。中国は、大陸棚の浅い海に、パイプラインを敷設できるのだが、2000メートルの深海にパイプラインは無理だ。

日本が天然ガスを利用しようと思えば、海上で液化して運ぶ他無い。船の上に液化工場を作るのは大変だし、第一、天然ガスの多くを船上工場のための発電に浪費してしまう。無理を承知で試行はしているようだが、コスト的に全く見通しが立たない。アラスカで液化した天然ガスを運んだほうが、桁違いに安いことになる。資源の利用という観点でも中国領とするほうが自然なのだ。

自然に逆らう領有には無理がある。日本政府は、日清戦争以来の実効支配に頼って領有を主張しているようだが、これを根拠にすると、60年以上に渡って韓国やロシアの実効支配がある竹島や択捉にたちまち跳ね返るから、あまり言えないはずだ。明治時代にあほうどりの羽を集める業者が島に常駐した実績が強調されが、これも、日清戦争で軍事的な優位を確保しての話だから、ポツダム宣言に従えば中国に返還すべき領土の対象だ。

国境に関して日本は決定権を放棄した事実がある。第3の原爆とソ連の侵攻を避けるために、ポツダム宣言を受け入れて降伏したのだが、ポツダム宣言はカイロ宣言の内容を承認しろと言っている。カイロ宣言には、「日本の領土は本土四島と我々が決める周辺諸島」と書いてある。我々とは誰のことかといえば、米中ソ英の4カ国だ。尖閣について米英ソは判断を示さないから、中国が決定権をもっていることになる。この会議に出たのは蒋介石ではあるが、日本は中華人民共和国が正当な中国政府の後継者であると友好条約で認めたのだから文句のつけようがないし、台湾も日本領土でないと言うことでは一致している。

2000万人ものアジア人を殺した代償をケチるのはいかにもセコい。冷静に考えれば、ここは中国に恩を売っておくところだろう。尖閣諸島をくれてやるという代わりに何かをもらうことで頑張るのが外交成果の選択だ。2000万人の命を奪ったことをこんなことで許してもらえるなら願ってもないことだ。まあ、今の政府ではそれも無理だろう。支離滅裂なダブルスタンダードを繰り返す無理筋の主張でこのまま行くと、国際世論からも相手にされなくなる。

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コメント 5

いしゐのぞむ

林子平『三国通覧圖説』では、臺灣島を黄色に、尖閣を桃色に塗ってゐます。臺灣附屬島嶼ではないことを示す史料です。チャイナ公式見解にも林子平『三国通覧圖説』を入れてゐるので、臺灣附屬島嶼か林子平か、どちらか一方をチャイナは放棄せねばなりません。詳細は新刊拙著『尖閣反駁マニュアル百題』(集廣舍刊、amazon等有り)及び鄙撰論文などをご覽下さい。


by いしゐのぞむ (2014-09-14 13:40) 

いしゐのぞむ

「尖閣を知らなかった」といふのは誤りです。
同じ事を繰り返しお書きなので繰り返しますが、西暦1534年に陳侃が釣魚嶼海域を渡航したのは、琉球航海士の案内に從ったのだと自身で記録してます。奧原敏雄氏が最初に論及した有名な記録です。最古の釣魚嶼の記録が琉球人による水先案内ですから、釣魚嶼の發見命名者は當然琉球人だといふことになります。
 林子平圖は、臺灣島と尖閣とを別色で塗ってますので、臺灣附屬島嶼説を否定してゐるのです。
http://senkaku.blog.jp/archives/2258655.html
 「尖閣諸島の向こう側に国境を設定するには無理がある」とのことですが、尖閣の西方の國境線は、チャイナ自身が定めたものです。西暦1461年「大明一統志」に「領土は大陸海岸まで」と明記されて以後、1880年頃まで、多數の史料に類似の國境線が記録されてゐます。
詳細は『尖閣反駁マニュアル百題』、集廣舍。
http://www.amazon.co.jp/dp/4916110986

by いしゐのぞむ (2015-01-10 14:24) 

kodomo

石井さんのご意見は2つとも誤りです。
冊封使船は、500人もが乗った大船です。航海士も沢山います。天文航法を用いていたとはいえ、水先案内人の補助は役にたったと思います。しかし、船員は200人ほどもいたでしょうから、30人の水夫を琉球が提供しても、手助け程度です。琉球人が操船したなどと言えるものではありません。しかも、琉球が提供した船乗りたちは、おそらく中国人です。琉球で、航海を担っていたのは、久米36姓と言われる技術集団ですが、明の皇帝から派遣された移民で、中国語と航海術を保持した中国人村を形成していました。久米36姓が琉球化すると共に、航海術が失われていったことが知られています。中国と沖縄では文化水準が違いすぎます。
「大明一統志」には、「領土は大陸海岸まで」などと書いてありません。むちゃくちゃな読み方をあちこちで宣伝されても困ります。
by kodomo (2015-09-22 09:16) 

いしゐのぞむ

リンクも著書もお讀みでないやうですね。
 久米三十六姓は明國籍を離脱してゐたことが『明實録』に書かれてをりますので、琉球國人です。しかも陳侃の船の水先案内は琉球國王の公務として命じられましたから、個人の國籍以前にそもそも琉球國として公的にチャイナ船の水先案内をしたのです。著書『尖閣反駁マニュアル百題』をご覽下さい。
 「久米36姓が琉球化すると共に、航海術が失われていった」とする記録は、琉球福州間だけ除外する記述だと、とっくの昔に『尖閣反駁マニュアル百題』に書きました。讀んで下さい。琉球福州間を毎年往復するのに、針路を失ふ筈が無いではありませんか。
 尖閣海域では天文航法を使用してゐませんでした。「島嶼研究ジャーナル」の諸論文をご覽下さい。
 「中国と沖縄では文化水準が違いすぎる」とは單なる差別でせうか。水先案内は海域ごとに分かれますので、文化水準と無縁です。『日本一鑑』などの史料で分かる話です。拙著諸論文ご覽下さい。
http://senkaku.blog.jp/archives/13347226.html
 琉球人が擔任した「操船」とは、水先案内部分です。琉球人の「看針」とチャイナ人の「操舵」とは分業でした。拙著『釣魚嶼史三議』
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027315769-00
をご覽下さい。
 「大明一統志」には、「領土は大陸海岸まで」と明記されてます。各地方志にも全て明記されてます。原文を勉強する氣が無ければどうにもなりませんね。拙著書及び論文を隈なく讀み盡くしてから、ご質問があればご聯絡下さい。




by いしゐのぞむ (2016-08-25 17:36) 

おら

コメントありがとうございます。気づかず返信が遅れたことをお詫びします。

中国から派遣された航海技術者たちは、独自のコミュニティーを作り、中国語で生活していたことは琉球史の研究者が一致して認めるところです。琉球王府とは一線を画し、独自の統率者がおり、王府はその任命権も持っていなかったのですから琉球人ではありません。船長として朝貢船を運営していた藩仲孫がリタイアするについては明皇帝の許可がいったことが記録されており、琉球に居住はしていても、明の臣下であったと考えられます。

後年、琉球王府の役人を輩出するようになって、久米36姓などと呼ばれるころには、確かに琉球人でしょう。そのころには中国語も航海術も失われていたことは、1607年の中山王尚寧の書簡に載っています。実際、1594年の朝貢使菊寿などは、航路を取れず浙江に漂着してしまい、帰りも中国人毛阮國の援助が必要だったわけです。多くは2年1貢などと制限され、10年1貢のこともあり、おっしゃるように毎年往復というわけではありません。

大明一統志に「領土は大陸海岸まで」といった文言はありません。海岸までの距離が書いてあるだけなのを、勝手に拡大解釈してしまうのは戴けません。こういった調子で根拠のない曲解が羅列されているかと思うと、正直、金を出してまで貴書を読む気にはなれないのですが、コメントを頂いた点は検討したいと思います。

by おら (2017-01-06 20:45) 

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