SSブログ

高萩市長の領土論---地方の首長ってこんなものか [政治]

9月26日のいはらき新聞に、高萩市長草間吉夫氏が領土問題で取るべき処置について寄稿している。この通俗性が地方末端の行政をあずかる首長の政治的認識の限界を示すものかもしれない。特に新聞に寄稿するくらいだから、自分では論陣を張ったつもりだろう。

草間氏は、この具体的な内容について、3つの提言をしており、①憲法解釈を変えての軍事力②重層的な外交チャンネル③国際司法への提訴がその骨子だ。まあ、政治のプロと言った深い考察があるものではない。

特に①は問題で、中国に「なめるなよ」と言いたいだけのことに思われる。軍事力で問題の解決はあり得ないという認識が足りない。軍事力で問題解決を図れば全面戦争に発展する危険を増大させるだけではないか。

日本に、人民解放軍がいるから尖閣はだまっておこうと言う意見はない。中国にしても同じで、日本の軍事強化で中国人の意見を変えることはできないのは明らかだ。国境問題を軍事力で最終解決に持ち込めたのは19世紀までであり、もはやそんな時代ではない。国境軍事紛争は多々あるが軍事で解決に至った例はない。

今回の予想を超えるような中国民衆の反発は、やはり過去の戦争による膨大な被害が根底にあり、尖閣国有化が日本の無反省、ひいては悪夢の再来に対する恐怖とつながったためだろう。この時期に①を行うのは問題を大きくするだけでしかない。

②は、幅白い対応のようにも見えるが、見方によれば政治外交による解決の放棄とも受け取れる。地元との融和に腐心する中国進出企業の社長に、日中平和条約でも棚上げされた領土問題を、持ち出させて解決するわけがないだろう。

鉄鋼などの日本の基幹産業は中国需要で生きている状態だし、部品の供給や製品の製造を中国に頼っている中小企業も多く、もはや日本は経済的に優位を持っているわけではない。中国に経済圧力を掛けられるとでも考えているなら間違いだ。

中国には中国の言い分があるのだが、ほとんどの日本人はそれを知らない。民間ルートというのも、こんな状態で、一方的な日本の主張を流す手段として考えるなら、それは機能しないだろう。

領土問題は外交交渉をあきらめるのではなく、その内容を精査すべきなのだ。日本の主張が国際世論に支持されているかと言えばそうでもない。同盟国とされるアメリカでさえ、中立の立場を崩していないし、中国の民衆に理解されることなど露ほどもない。外交交渉が間違っていたのだ。道は遠くとも外交交渉以外に解決の道はないと心得て真剣に取り組む必要がある。

氏の文は「対話と毅然とした対応」と題してあるが、その意味では③が、問題解決の正道である。しかし、双方合意してこれが成り立つにはまず対話が必要だ。「固有の領土であり、領土問題は存在しない」と対話を拒んでいては前に進まない。竹島と尖閣で逆の態度を取るダブルスタンダードではとても毅然した態度とはいえない。本当の「対話と毅然とした対応」が必要だ。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。