SSブログ

領土問題どん詰まり----四カ国を相手に回してどうする [政治]

不景気と非正規雇用の嵐の中で、消費税は増やすし、社会保障は引き下げる。これで人気がなくなるのは当然だが、そんなとき為政者が思いつくのは「外に目を向ける」ということだ。対外政策で強硬論をとなえ、「愛国者」たちの喝采を浴びようと言うわけだ。この手でごまかされる人々も実際に存在する。

しかし、領土問題には必ず相手国がある。韓国との間の竹島、中国との間の尖閣、ロシアとの間の千島、それに土地の多くを基地に取られている沖縄もアメリカとの間の領土問題といえる。一度に4カ国を相手に回して領土問題を騒ぐ日本という事になると、国際社会の問題児になりかねない。しかも、この4つの国に対する態度にまったく一貫性がない。ダブルスタンダードどころかクワドラスタンダードなのだ。

日本国の主権を最も侵害しているのは、明らかに米軍基地なのだが、これについてはだんまりを決め込み、何も文句は言わない。アメリカには最初から従順でしかない。

竹島問題を持ち出して勧告を国際司法裁判所に提訴するが、結局のところ尻すぼみになる。なぜなら、反共日本はアメリカを軸とする日米韓の同盟が外交の軸になっているからだ。韓国と喧嘩はできない。大韓民国を朝鮮半島の唯一の政権と認め、北朝鮮は「存在しない」というスタンスまで取っている。合従連衡の外交テクニックとしては、南北朝鮮にバランスを取り、手玉に取るのが上策なのだが、それを放棄してしまっているわけだ。だから、韓国はいくらでも強気で対応することができる。復古党(restoration party)の橋下などは最初から「共同管理」などと妥協して右翼仲間から反発まで買っている。

尖閣はどうかと言えば、これまたどん詰まりである。中国は今やアメリカを超える日本の貿易相手国。最上のお得意様なのだから、これまた喧嘩できるわけがない。日本の財界はもちろん中国と事を起こすことをきらう。歴代政府は「財界ポチ」を貫いているのだから、もちろん反抗できない。財界に反抗すれば、保守政権はたちまち首を切られる。おそらくいまごる「どう引っ込めるか」に苦心していることだろう。

さすが長年政権を担当してきた自民党は賢い。領土問題については、ずーーと棚上げにしてきている。そう、棚上げが一番賢いやり方なのだ。尖閣なんか単なる岩でしかない。天然ガス資源だって、深さ2000mの海にパイプラインは引けないので、採取しようがない。漁業も、遠くまで時間をかけて行くほどのものではない。輸入食料が豊富な中で、日本人は漁民の生活を保障するだけ魚に金を払わないのだから仕方がない。

領土問題は、騒がず、忘れず、棚上げにして、時々外交局面でちらつかせるのが賢い扱いなのである。そして、持ち出すとしたら、それは、解決の目処がついた時でなくてはならない。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。