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最低賃金法が廃止されたら大変なことになる [政治]

最低賃金法を廃止するなどと言い出した政党がある。世論の批判を浴びて「市場にまかせる」などと言い直したが同じ事だ。どうも経済がまったくわからない人たちらしい。

ある商品を作り、高い値段で売り出して儲かったとする。当然、同じような製品を少し安く売る人が現れる。結果として値段は下がり、同じ製品を売りつづければ価格競争になる。どこまで値段が下がるかといえば、製造コストぎりぎりまで下がる。これが資本主義の価格原理だ。優良企業はいつまでも利幅の下がった商品にしがみつかず新たな製品開発をして行く。

労働力も商品であり、特殊な技術があれば高く売れるし、単純労働なら安い。安い労働力の価格(賃金)が市場でどこまで下がるかといえば、製造コストぎりぎり、つまり餓死する直前まで下がらざるを得ない。餓死が増えて労働者の数が減れば賃金が上がり、餓死が少なくて労働人口が増えれば賃金が下がると言う状態だ。

こんな非人道的な状況を防ぐために最低賃金法がある。最低賃金を払えない会社はつぶれても良い。人を殺すよりましだと言う考え方だ。最低賃金の高い国はそれだけしっかりした企業が育っている国だ。国力とは最低賃金の高さだと考えるのが良い。ドイツ・フランスなどの国々は不況の中にあっても、じわじわと最低賃金を上げている。優良企業を選別して育てる政策でもある。

日本は経済力がありながら最低賃金が低い。企業を甘やかして低賃金で収益をあげる不良企業を温存する体質を保持しているのだ。不良企業を温存しながら先端的な生産もするのは、特異な下請け制度によるものだ。下請けの中小企業の上にあぐらをかく一流企業という格差構造だ。こういった奇妙な構造を改革して行くためにも最低賃金の向上が必要とされる。このようなときに不良企業育成の「最低賃金廃止」などとんでもないことだ。

最低賃金法をなくす代わりに、最低賃金以下の人たちの生活は、国が責任を持って支えるなどと、言い訳をしているが、日本には最低賃金付近の「ワーキングプアー」が1000万人もいるのだ。一人100万円で合計10兆円もの予算をどうやって工面すると言うのだ。言葉の上だけでの政策でしかない。

賃金は「相場」で決まる。最低賃金が下がれば、ちょっと上の職種の賃金も下がる。順送りに、多くの人たちの収入が減ることは目に見えている。「俺は最低賃金でないから関係が無い」などと考えているバカがどれだけいるものか、今回の選挙の結果を待ってみよう。
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