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民主党政権とは何だったのか [政治]

衆議院選挙は自民党の圧勝、民主党の壊滅で終った。心底こりごりしているあの自民党政府に逆戻りするのだから気が重い。自民党圧勝の最大の功労者は野田首相だ。

やると言明した沖縄基地の撤去をやらず、止めるはずの八つ場ダムを進めたし、非正規労働の規制も放り投げた。やらないと言明した消費税は多数を除名してまで強行した。国民の多くが不安を持っている原発の再稼動を早々と容認した。これで、公約に期待して投票した人の支持を失わなかったら、そのほうが不思議だろう。

なぜ、こんなバカなことが起こったのだろう。3年前に戻って民主党の成り立ちを考えればうなずけるものがある。民主党は昔の社会党から社民党に移ることをためらった右派と民社党などの労働組合族が選挙互助会的に集まったものだ。政治的見解もはっきりしない集団だから、ジリ貧になっていた。そこへ小沢の新進党や鳩山のさきがけなど、自民党を分派した勢力が合流して勢いをつけた。

野田が属していた昔の民社党は、労使協調の同盟系組合をバックにして、労組系であるにもかかわらず、自民党と同じような政策を掲げていた。「自民党と変りありません。だから政権を任せてください」などと委員長が演説していたが、社会党と自民党の谷間に沈没していた政党だ。変りがないのなら老舗の自民党の方が信頼されるのが当然だろう。

長年にわたる自民党の一党独裁が国民に飽きられ、変化を求める受け皿として急浮上した。「政権交代」が民主党の看板になった。しかし、民主党の多くは元自民党であり、自民党政治を変えたいとも思っていなかったのだ。「政権交代」のために、自民党との違いを出す必要が生じて「マニフェスト」を出した。マニフェストというのは政権交代のために出しただけのもので、実は民主党がやりたいことではなかったということだ。

国民は、消費税を増やさないことや、沖縄基地の撤去、ワーキングプアの解消、八つ場ダムなど公共事業の停止を期待して政権交代を望んだのだが、「政権交代」自体を目的にしていた野田などの議員の本音は、自民党政権の政策に不服なく、「政権たらいまわし」をやりたかっただけなのだ。

政権が取れてしまって、イザ実行となると、すぐにボロが出た。本当はやりたくないが、マニフェストに書いてしまった事をやらなければならない。大勢力を持つ自民党を抑えて、国民の欲する政策を実行するには相当な努力がいる。熱意のないことに奮闘しろといっても無理だ。民主党政権では「決められない政治」が続いた。

もともとやりたかったのは、自民党との政権たらいまわしだ。どちらの政党でもやることは同じだが、顔ぶれは変るという政治がやりたかった。要するに自民党内では冷や飯を食っていた所に日を当てたい。それだけのことだ。民主党政権三代目の首相になった野田は、決められない政治への批判を第一と考え、やりたかったこと「自民党と同じこと」を実行して「決められる」ことを見せようとした。

もう、目は完全に自民党と財界に向いていた。国民の声は聞こえなくなっていた。彼は反原発で官邸前に集まった人々の声を「大きな音」と言った。敵対するにしろ、受け入れるにしろ、国民の声が聞こえなくなったら政治家はではない。彼の目には自民党と同じ事をやって、財界の喝采を浴びれば政権が長続きすると見えた。なぜなら自民党はそれで政権を続けられたからだ。野田の頭の中では、自民党と同じ事をやれば、自民党と同じようになるとしか考えられなかった。

自民党というのは国民の望まないことを押し付けるために、進駐軍に養成された特殊な政党だ。緩急自在、国民の反発の程度を見ながら、じわじわと締め上げる。50年に及ぶ与党経験の中で、逃げ道を作ったり、他で期待を持たせたりして、反発が集中しないようにするテクニックを身に付けている。こんな政党は自民党だけで十分であり、同じ事をやる政党はいらない。

結果はみてのとおりだ。国民は民主党なんかに期待した愚を反省しなくてはならない。自民党政権では出来ないことをやる政党だけが政権交代を言う資格がある。

これからの4年間が恐ろしい。安倍の浮かれ加減を見ると、国民が目覚める前に、日本を破滅させてしまうかもしれないと、本気で心配になる。






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