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これからの日本はどうなるか(2013) [社会]

同じタイトルで去年の年頭にも書いた。読み返して見て、基本的には今年も同じ認識でよいと思える。

違うところは、自民党政権にもどって、変化が加速されたことぐらいだろう。経済では新たにアベノミックスなる極めて古い手口の景気刺激策が現れた。これに期待して株価が上昇しているが、実態経済を反映したものではない。金融緩和しても資金は投機に回るだけで、マネーゲームが盛んになるに過ぎない。

これだけは大丈夫だろうと思っていた家電業界が軒並みの赤字を出している。新興国がそれなりの技術を蓄え、安い労働力で生産しはじめたら価格競争で勝てないのは当然だ。コストダウンで対応しようとするのが間違っている。新興諸国の技術発展は著しい。ルネサスなどの最先端半導体も負けが決定している。自動車産業だってもはや時間の問題だ。

こういった経済状況に対する危機感の裏返しとして、「右傾化」が進んでいる。外交では、歴史の書き換えを強行しようとして世界の批判を浴びた孤立が問題になるだろう。ただ、自民党は批判に敏感で、手加減するということを身に着けた政党だから、オバマ大統領の姿勢などで牽制されるかもしれない。世界の良識に期待したい。

大きな流れとしては、中国やインドなどの人口大国が力をつけて行くことで、これは動かない現実だ。東南アジアの新興国も徐々に技術水準を高めてきている。日本の技術も遅れたものではないが、だんだん差が縮まって行く事は否めない。世界の経済バランスも徐々に変化して行き、アメリカでさえ最大の貿易相手国は中国になった。この動きに取り残されないようにできるかどうかが最大の問題だろう。アメリカの手先としてアジアの諸国と対峙するような馬鹿げた姿勢をとり続ければますます日本が不利になるのは明白だろう。

日本は人口で世界の50分の一しかない。いかなる意味でも大国ではない。こんな国の国民がある程度の生活水準を保つためには、相当の工夫が要る。人口大国が、他国の支配化で発展を阻害されていた隙間に急成長できたのは幸運でしかない。いつまでも続くのが自然だと考えてはいけない。

アジアにあって、付加価値の高い生産を確保できれば、大きな市場に近いことは当然有利に働く。同じ製品でも日本製はちょっとデザインが優れている。少し小型で気が利いている。そんなところを売りにするしかない。今で言う北欧家具や、イタリア靴なんかの位置づけだろう。

付加価値の高い生産の原動力はもちろん高い質の労働力によって生み出される。ところがこの20年、日本がやってきたことは、安い労働力の追求だった。研究開発にはそれなりに力を入れてきた。政府も一部のエリートの育成には熱心だ。しかし、そんなものが大発明につながり日本を救うなどと考えるのは勘違いもはなはだしい。

そもそも日本製品が受け入れられたのは、現場での小さな工夫の積み重ねが功を奏したものだ。同じ、鉛筆削りでも日本製のものは工夫が凝らされていた。アメリカの十年一律のものと違って、毎年新しい製品が使い易くなって出てきた。

他の製品についても同じ事が言える。名も無い現場技術者たちの努力が日本ではどんどん進んだ。ところが、この20年、こういった技術者は切り捨てられ、非正規労働など、賃金が安くなることばかりを追求してきたのだ。賃上げが止まった頃から経済の停滞が始まった。この流れを変えない限り復興の道はないだろう。

これからの日本は人口も減少し、経済などは衰退の道をたどる。右傾化による妙な背伸びが没落を後押ししていくことだろう。破綻への道を突っ走っている日本だが、頼みの綱は経済高揚期に蓄えられた文化的資産だろう。今でも日本の教育水準は高く。民芸の質の良いことは定評がある。食文化の多彩さもすばらしい。こういった文化を失わず、小国とは言え、一定の輝きで世界に敬意を払われる国になれたらすばらしい。
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