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財政赤字はどうなったのだ----口をつむぐ安倍政権 [政治]

昨年まで政府は口を開けば財政赤字を叫んでいた。このままでは破綻するから、福祉の切り捨てなどの緊縮財政が必要だし、消費税の値上げは避けられないと言っていた。消費税の増税が一応決まり、安倍政権になったら財政赤字の問題には口をつぐんでしまった。次々に大判振る舞いの予算を繰り出している。様々な企業減税まで飛び出す始末であるから、財政赤字問題は諸費税を値上げするための口実でしかなかったのかと思われるくらいだ。

実際に債務残高がどうなっているかというと1012年にはまた増えてGDPの230%と言う驚異的な数値になって、もちろんギリシアを越えるダントツ世界一である。ちなみに米国は102%韓国は45%、中国に至ってはゼロである。普通、これだけ債務が膨れ上がれば信用不安で円が暴落する。

にもかかわらず円高が続いているのは集中豪雨のような輸出の大きさのせいだ。為替レートは輸出入のバランスで決まる。輸出が多ければ外貨がダブ付き円高になるし、輸入が多ければ外貨不足で円安になる。ここまで円高が進むと、輸出が難しくなるはずなのだが、日本の場合、加工費、その中の人件費を減らすことでこれに対処してしまう。どんどん賃金を下げて、円高でも平気で輸出できるようにした。

普通はそんなことは出来ない。先進国には労働組合があり、賃下げなど簡単にはできないのだ。経営者は賃金を上げても成り立つ経営を模索するしかない。ところが日本では、労働運動が抑圧されてしまい、ストライキなど見たくとも見られない。企業は自由に賃金を決められる状態が続いている。結果が、リストラ、非正規雇用であり低賃金化だ。

日本の賃金は、もちろん発展途上国に比べれば高いのだがG5諸国と比べれば格段に低い。簡単な統計を見ても、日本の賃金を100としてアメリカは126、フランスは130、ドイツは160である。給料が30%増えればどれだけ楽になるかは多くの人が身を持って知っているだろう。日本人はこれだけ多く搾取されているのである。

この異常性が、日本の財政赤字を許しつづけている原因でもある。日本人は低賃金を我慢することにより、政府の無駄使いをささえ、それがまた政治と経営を甘やかしている。根本原因である「低賃金」を是正しなくてはいくら消費税を増やしても、政治家はそれを良いことに無駄使いを増やすだけである。200%の肥満は消費税サプリ位で直るはずも無い、ことをはっきりと知るべきだろう。

不景気なのに賃上げなんて、とか、東南アジアに比べれば高いのだから、などと言うのは「騙し」である。東南アジアと比べるのは土台まちがっている。欧米の経営者は高賃金を払って立派に企業を成り立たせているのだ。日本の経営者が安易な金儲けに走っているだけだ。早い話、ただ働きさせればどんなアホな会社でも儲けられる。

本来、当然起こるべき円の信用不安を、異常な低賃金で補って成り立っているのが今の状態なのだから非常に危うい。下手にインフレターゲットなどといって通貨を膨張させればついには限度を超えて暴走が始まる。船板を燃やして焚き火をしようとする船長の船に乗船させられている国民ほど辛いものはない。
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