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絶えない右翼の内輪もめ [社会]

ネット右翼のヒーロー、小林よしのりと桜井よしこが喧嘩を始めた。昔から日本の右翼は内輪もめが多い。右翼教科書を作る会も分裂した。暴力団右翼は殺し合いまでやっている。その理由は右翼に共通の階級的基盤がないことが本質的なのだが、考え方の流れとして、対立する二つのものが混在している事も大きい。それは「伝統右翼」と「反共右翼」の2つの流れだ。

「伝統右翼」は、日本が唯一の神の国だと信じ、全ての人々が、私心を捨てて天皇陛下に忠誠を励めば、天下泰平であらゆる問題が解決すると主張する。一種の空想的社会主義とも言える。当然、日本の伝統を重んじ、金が全てを支配する現代資本主義には嫌悪を持つことになる。

こうした右翼と思想的に真っ向から対立するのは唯物論の立場を取る共産主義である。実際、共産主義者の言動には右翼の神経を逆撫でするようなものも多い。右翼が持つ現状批判の多くが共産主義によって代弁されるから商売敵でもある。当然生まれてくる共産主義との対立を第一の課題とする右翼が「反共右翼」である。共産主義と戦う現実の力を持つためには資本主義の害悪も容認するし、伝統を軽んじても良いとする。

どこに違いが現れるかというと、端的なのはアメリカに対する態度だろう。「伝統右翼」から見ればアメリカも神の国を汚す夷人でしかないが、「反共右翼」は力を得ることを重視して、決して反米の立場を取らない。

大資本家に対する態度も異なる。こういった金持ちは私利私欲の塊であり、「伝統右翼」から見れば愛国者ではありえない。しかし「反共右翼」は反共の強い味方である資本家は自動的に愛国者となる。

現在の問題としては、TPPに対して「伝統右翼」は売国条約だとして反対するが、「反共右翼」はアメリカに擦り寄る。原発に関しても、「伝統右翼」にとってはは神の国を放射能で汚すことなど許されない。しかし、「反共右翼」は、反共を達成するためには電力資本を助けなければならず、原発再開を主張する。

実際にはこの2つの右翼潮流は混在し、比重のかけ方は千差万別だ。だから内紛が絶えないし、同じ人でも環境によって、ずるずると軸足が動く。原発反対を叫んでいた橋下が原発賛成の石原と手を組んだのはその一例だろう。靖国神社の遊就館は「太平洋戦争はルーズベルトが仕掛けた陰謀」と展示していたが、こっそりこれを削除して反米表現を改めた。

「反共右翼」は支配階級の意向を受けて右翼思想を少し捻じ曲げることになる。そのかわり、支配階級のお気に入りとなり、身入りも大きい。だから現実に力を持ちやすいのは「反共右翼」である。右翼には「反共右翼」への勧誘が常に働いているといってよい。権力に近づくほど「反共右翼」に転化して行く。

二つの流れは常に生み出されるから、内輪もめは決してなくなることはないだろう。


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