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アメリカにだけ謝る橋下サンと日本国憲法 [政治]

慰安婦発言で窮地に立った維新・橋下サンは懸命に言い訳を繰り返しているが、ますます支持率が下がっている。言い訳がさらに傷口を拡大している様子だ。国際的な批判を受けて、「愛国者」を自称する右翼がアメリカにだけ謝罪するというおかしな話にはだれも付いていけない。

風俗利用を勧めた相手のアメリカに謝罪するが、橋下サンが差し出そうとした当の本人である風俗で働かざるを得ない女性や、基地周辺の沖縄県民に対しては謝罪しないというのは、あまりにもおかしい。謝罪する相手が違うだろう。

本意は「日本だけが悪いのではない」と言うことであって、決して女性を侮辱することではなかったと弁明しているが、それなら「慰安婦は必要だった」ということに対しての真意をはっきりさせるべきだろう。問われているのは、日本だけが行った大規模な慰安所設営に対する評価だ。

もし、それが正しいことであったとするなら、現代にも通用することで、また慰安婦を集めなければならなくなる。少なくとも慰安婦に代わる何かを提案しなければならなくなる。それでアメリカ軍に対して風俗利用を勧めたのではなかったのか。

「慰安所設営は正当」をそのままにして、風俗利用を勧めたことを謝罪してしまうのは、ますますもって、おかしなことだ。アメリカに批判されたらなんでも謝るという対米従属そのままだ。この謝罪も単なる政治的取り繕いであることをすぐに見透かされる。

なぜ日本だけが大規模な慰安所設置をやってしまったかと言う問題は真摯に受け止めなければならない。明治憲法の下で、人権を普遍原理として受け入れず、国家命令をその上に置いていたことが最大の原因である。国家利益が最高の価値とされ、戦争に命を差し出すことが美徳とされた。人間が軽んじられていたのだ。当然、人権意識はなく、まして敵国の女など、何をしても恥じることはなかった。兵士として命をかける男性だけに選挙権がある中で、女性蔑視もひどかった。このために、慰安所を作るようなことが平然とおこなわれたのだ。慰安所を作ることが当然視されると言う社会であったことが問題なのだ。

若い兵士といっても多くは既婚者だから、慰安所というのは家庭的に問題があるのではないかと思われるし、当時の道徳規範だった教育勅語の「夫婦あい和し」にも反するのではないかとも思えるのだが、この場合の「和」とは夫の浮気に文句を言わないことなのだ。教育勅語を発した本人の明治天皇自身が、正妻一条美子(昭憲皇太后)の他に、公表されているだけでも、葉室光子、橋本夏子、千種任子、園祥子、小倉文子、柳原愛子と6人の愛人を持っていた。日本国憲法に変るまでの社会はそれほどまでに歪んだ社会だった。

どの国にも恥部はある。アメリカもかつて奴隷制を持っていた。しかし、彼らは南北戦争で自らの血を流してまでしてこれを廃止したことを誇りとしている。ドイツはナチス時代の蛮行を徹底的に謝罪し、今では周辺諸国からの信頼を見事に取り戻している。イギリスも植民地時代のアフリカでの行いを謝罪し、最近になっても補償を行っている。慰安所は日本の恥部だが、日本は、多くの人たちの戦災死亡と言う代償を払って、日本国憲法を受け入れることで慰安所を廃止した。

明治憲法の廃止は自発的なものではなかったが、以来65年にわたり、この理想主義的な憲法を保持してきた。これは日本人の努力によるものだ。我々はこれを誇りとする。大日本帝国に戻そうなどという自民党憲法草案などとんでもない話だ。


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