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ブラック企業の社長が議員に?---ワタミ [政治]

ブラック企業の社長が参議院議員に立候補している。自民党が比例区で公認するのだから、集票力があると評価されているのだろう。教育再生会議の委員になったり、自ら学校経営に乗り出したりしているから、教育に一家言あるつもりなのだろう。しかし、ブラック企業と教育が相反するものであることは言うまでもない。本人はブラック企業だと思っていないらしい。

従業員を自殺に追い込むまでこき使ったことが社会問題になって、なんらかの言い訳が必要になったと見えて、最近は、ブラック企業ではないと強硬に主張している。その論拠は、外食産業の平均離職率が44%であるのに対して、その会社は42%でしかないというのだから笑える。従業員の半数近くが一年で辞めていくという会社なのだ。

この会社には3万人の従業員がおり、この人たちの生活を支えていることを自慢するが、半数が一年で入れ替わるということは、この10年に15万人の人が愛想を尽かして辞めていったということになる。「定額使い放題」では従業員はたまらない。厚顔にも従業員に対して選挙への協力を婉曲にではあるが押して受けているようだし、顧客にも立候補の挨拶状を送って選挙違反のそしりを受けている。

自伝本によれば、つぶれかけた居酒屋を手に入れて、異常な頑張りで立て直したのが会社の始まりだそうだから、本人は働き者である。それだけなら評価したいのだが、彼がやったことは、従業員にもそれを押し付けたことだ。低賃金で働かせ、本来従業員に払うべき賃金をケチって資産を築いた。

外食産業などというものはそう儲かるものではない。個人経営の食堂では一生懸命働いて、やっと生活できる程度だ。利益率が低いことは、チェーン店でも同じことだ。この会社だって一人当たりの営業利益は高くもない。社長が一人金持ちなのは、単に従業員から少しずつピンハネしているだけに過ぎない。3万人から年間1万円くすねただけでも3億円になる。

こういった金持ちを成功者としてあがめていいとは思えない。居酒屋などという産業は昔からあったもので、経営者の創造性などどこにもない。どうやって人の金をくすねるかと言うことにだけ長けた「成功者」が多くなればなるほど、不幸な日本人が増える。

こういった人を比例区の候補として恥じない政党というのも異常だ。金は正義なりという思想の表現に他ならない。日本人全員がブラック企業で働かせられる社会にだけはして欲しくない。

-------------------追記---------------------------
選挙違反まがいのやりかたは、批判を集め、実際不人気ではあったのたが、比例代表だから当選してしまった。会社の費用で株主や取引先に送りつけた文書では「今回の挑戦にあたり、私の29年間のすべてをこの日本国の経営にぶつけることを約束します。」と例によってガンバリズムを協調している。彼の経営哲学はとにかく頑張れが基本で、これを低賃金の労働者にまで強制しているのだから、自らも「すべてを」と言ってみせるのだ。

ところが、選挙期間中面白いことが起こった。twitterを駆使して選挙民に親密感を与えるつもりで、「昼食に、1000円の海鮮丼を食べています」と打ってしまった。そして、しばらくしてこれを削除した。有名な彼の言説「別に強制しているわけではないが、営業12時間の内 メシを食える店長は2流だと思っている」「命がけで全部のお客様をみていたら、ものなんか口に入るわけない、水くらいですよ」を思い出したのだろう。

短い選挙期間、命がけで"国民のために"やっていて、海鮮丼の昼飯を食うのは確かに矛盾だ。かれのガンバリズムが労働者を酷使して儲けを出すための方便に過ぎないことの現れである。
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