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堺市長選挙----市民自治の抵抗 [政治]

堺が大阪に攻められている。橋下維新の手が大阪都構想に追随しない堺に伸びてきたのだ。市長選挙は現職と維新候補の争いとなったが、共産党なども政治的立場を超えて現職を推すことにしたから、堺独立派と大阪追従派の戦いの様相を示している。

堺が大阪に攻め立てられるのは実は初めてではない。中世、堺には町人たちによる自治都市があった。貿易の中心地として発展したのだが、大阪の豊臣秀吉によって攻め立てられ解散させられた。大阪は商都となったが、これは堺から強制移動させられたものたちが築いたものだった。大阪は堺を食い物にして太った。

それでも、港湾と後背の大阪平野や紀州の物産に支えられて堺の独自の再興があった。酒造や製糸、線香、刃物、鉄工などの工業が発達した。この勢いも再び大阪のために阻害されることになった。江戸時代にも堺町奉行が廃止され大阪町奉行の管轄に入れられということが起こり、大阪優先の大和川の付け替え工事で港に砂の堆積が起こってしまった。

大阪中心の行政のために、こうした圧倒的な良港の利点が失われたことは明治になっても尾を引いた。幕末が勤皇派に主導されたために、天皇陵が近い堺での開港がならなかったという理由もあったのだが、神戸に貿易港の座を明け渡してしまうことになった。

このように、堺は何度も大阪の被害にあっているのだが、それでも堺市民はしぶとい。戦後も独自の発展を見せ、政令指定都市にもなった。大阪市と全く同格である。文化的には大阪とは一味ちがった独自のものを発展させてきている。交響楽団が本拠を堺としたり、回転寿司だってくら寿司は堺の生まれだ。自転車部品のシマノとか特色ある企業も多い。

それが、維新の大阪都構想では、解体させられ、大阪市の一部同様に扱われることになる。長い自治の伝統を持つ堺に対する大阪の襲撃がまたもや起こったのだ。財政的にも堺の予算は多く大阪都に吸い上げられることになる。堺を餌食にして大阪を太らせる策略でしかない。

大阪は戦いの矛先をまちがっている。大阪の地盤沈下の原因は東京への一極集中にある。東京と戦う以外に道はないのだ。ところが橋下維新は、東京の石原と手を組み、地方の小都市をいじめにかかっている。おまけに当の石原から「日本に都は2ついらない」などとバカにされる始末だ。それでもニタニタして東京にくっついた姿勢を崩さないのだからだらしなさすぎる。

堺市民はこの大阪の侵略に対して、はっきりと抵抗の意思を示すべきだろう。堺の自治の心意気が現れる選挙結果であってほしい。やがては、それが全国各地の自治の励ましになる。

---------- 追記 -----------------
堺市長選挙も終盤となり、維新の劣勢が伝えられている。 大阪都構想が不評なのだ。「どのような大阪都にするか協議に参加して決めてほしい」とか「住民投票があるからこれで決定ではない」などとしきりに弁解しだした。

大阪の区分けからいえば人口80万人の堺は一つの区になるだろうし、そうなれば住民投票はない。政令都市から区への格下げでしかない。7つある区役所は1つになり、きめ細かな行政などありえない。

東京と大阪は構造がちがう。東京はバカ鹿でかい23区と、あとは小さな市ばかりなのだが、大阪には政令都市が2つあるし、豊中、東大阪、高槻も中核市になっている。もし、地方自治を改革するなら方向は逆だ。大阪府を解体して権限を市に移し、大阪都市連合にするべきだろう。
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