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原発推進派の危機 [原発]

なぜ原発にしがみつくのか? もちろんそれには理由がある。 

際限ない経済発展に依存してきた日本は崖っぷちに立っている。しかし、かつて、そのようなことが言われたアメリカは、いまだに一応持ちこたえている。 航空機・医薬品・コンピュータ・軍事が健在だからだ。日本には何があるのか? 造船・鉄鋼は見る影もない。お家芸だったエレクトロニクスは、三洋やルネサスが破綻し、ソニーも低迷したままだ。自動車は健在だが、印中韓が次々に参入して、将来は大いに不安だ。

経済発展こそが命と考える財界と政府は、震災の少し前に、原発立国の決断をしたばかりだ。東芝は、多大な借金で、ウエスティングハウスを買い取った。もちろんこれは財界と政府の総意を受けてのことだ。エネルギー需要は必ずある。欧米が嫌がって二の足を踏む原発に踏み込み、生き残りをかけようとした。この判断の直後に震災と福島事故が起こり、戦略破綻をきたした。「いや、まだ破綻していない」その強がりが続いてきた。収束宣言を出し、オリンピックに向けて、汚染水もコントロールできていると公言した。

事故の影響はあまりにも大きかったし、事故処理の手際の悪さも大きく響いて、原発への反発が予想を超えて広がってしまった。ドイツが脱原発宣言を出したのもショックだっただろう。国民を脅しつけた電力危機も、なんなく乗り越えてしまい、原発が必須であることも説得力がなくなってしまった。それでも、原発にしがみつくのは、原発以外に経済の脱出口を見出せないからだ。原発輸出を続けないことには、自らの戦略破綻を認めなくてはならなくなり、根本が崩れる。

今突きつけられているのは、こうした根本的な戦略破綻の問題だ。原発事故はあまりにも金がかかる。汚染水処理は日本の原発の構造的欠陥を露呈した。安全対策は、色々とごまかすにしても、核廃棄物の最終処理にいたっては、いまだに全く見通しが立たないのだからごまかしようもない。

戦略破綻は、政府も財界も意識している。だから、小泉元首相などが発言するのだ。引退した元首相にとっては、政治家としての見通しのよさを印象として残したい。自分が作った船ではあるが、沈みかかった泥船からは、さっさと下りてしまいたいということになる。小泉に続きたい保守政治家も多くいるだろう。

原発推進派は危機に陥っている。経済をどうするのだ。無責任な発言を慎め。そういって引き締めにやっきとなっているだろう。しかし、おそらく流れは止められない。今後日本で新たな原発の建設など出来るわけもない状況だ。国内で建設できないものを輸出する戦略が成り立つわけがない。戦略はどっちみち破綻するのだ。

嵐のような輸出に依存することを止め、こじんまりとした経済で、格差なく心豊かに暮らせる国を目指すしかない。現に北ヨーロッパの諸国は、輸出依存ではない適度な経済で、豊かな生活水準を保っている。GDPを人数で割れば、日本は全ての人がある程度豊かに暮らせるだけの経済規模をすでに持っているのだ。



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陽炎

「安全なハイテク原発」とか言うのがホンマに怖い。 信用できません 米国の原発は日本よりかなり慎重なのは、とにかく弁護士だらけで被害がでたら総攻撃を食らうからなのかな? そんな気が・・ 
by 陽炎 (2013-10-31 01:32) 

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