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捕鯨禁止の判決 [社会]

オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)が3月31日、日本の南極海での調査捕鯨を国際捕鯨取締条約違反と認定、今後実施しないように命じた。これは、南氷洋の捕鯨であり、日本近海の小規模捕鯨は継続されるから、食文化が全滅するという問題ではない。日本政府は困惑を隠せない様子だが、考えてみれば当たり前のことだ。

南極海での乱獲が鯨資源を大幅に減らしたのは事実だし、日本も資源保護には賛成していた。真正面から、資源確保のためにどれだけの捕鯨が許されるべきかという議論はしなかった。各国の鯨殺戮罪悪論に迎合する形で、取引したつもりだった。日本に許されていたのは「調査捕鯨」だったのだが、これを拡大解釈していた。日本政府は、調査捕鯨の名目である程度の捕鯨枠をもらったのだと理解していたようだ。そんな田舎町の議会のような腹芸は通用しない。

年間850頭も捕獲して、鯨肉の販売もしていたのだから、「調査捕鯨」はごまかしだといわれても仕方がない。捕鯨協会などのホームページには、あくまでも調査目的だと説明されている。この説明が面白い。

「日本人の身長は10人計っただけではわからない。精度を上げるためには数が必要だ。」というが、10人計っただけでも、2m以下だということはできる。鯨の保護をするための調査にどれだけの精度が必要だというのか。本当に必要な調査なら、各国でやるべきだろう。世界100カ国が850頭取ればどういうことになるかと考えれば矛盾は明らかだ。

開発途上国に援助資金を出しておけば、「調査捕鯨」の名目で、日本の捕鯨を認めてくれるだろう。既成事実を積み上げていけば、禁止になったりしないだろうというやり口が国際的に通用しなかったという事例と受け止めなくてはならない。

憲法条文を読めば明らかな軍備禁止も、拡大解釈して既成事実を積み上げ、あげくに、現状に合わないことを理由の改憲を言い出す。こういった手口が日本には横行してきた。今また、憲法の勝手な解釈で、集団的自衛権の行使という対外軍事行動をやろうとしている。閣議ごときで憲法の解釈を捻じ曲げられるということがおかしい。こういったことが通用するのは日本独特の異常性なのだ。

国際条約や憲法は、あくまでも条文に即して理解されなければならないのに、既成事実や、裏取引で、いくらでも解釈を変えることができるなどと思っている。異常な日本政府の考え方が露見したのが今回の国際司法裁判所の判決だろう。

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