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実習生と農家 [社会]

農業が苦境に陥っていることは誰もが認める。農産物の値段は安く、過酷な労働になかなか値するものではない。日本の農業は、どんどん潰れて行っている。

農産物の値段が安いのは、言うまでもなく輸入品が出回るためである。賃金の安い開発途上国の産品と太刀打ちしようもない。これまでは、関税による保護が多少ともあったのだが、TPPが来れば、壊滅的な打撃を受けることは必至である。

長年政府自民党を支えてきた集票基盤である農家は、ここに来て完全に見放された。政府が農家に提供したのは実習生の受け入れという姑息な手段だった。「攻めの農業」と称して、大規模化を奨励したのだが、農家にそんな労働力は。ない。実習とは名ばかりで、安い労働力として、外国人労働者を雇わせることにしたのだ。

茨城県鉾田市で、農家27戸が東京入管から5年間の実習生受け入れ停止処分を受けた。残業手当の未払いがその理由だが、農家は戸惑っている。自分たちも、長年、一日8時間以上の労働をしてきたわけで、残業の意識もなかった。第一、大手の一流企業でも、サービス残業は当たり前で、年休を100%消化する労働者などどこにもいない。

外国人労働をあつかう入管は国際的な基準で物事を見ざるを得ない。どこの国でも労働時間は金と等価だ。だから残業割り増しを払わないなどと言うことは、泥棒に等しい犯罪である。ところが、日本では、一流企業でも堂々と泥棒が横行しているのだから、異常という他ない。こうした異常を背負わされてしまったのが農家だったのである。

これと前後して、たかの友梨会社の労働法違反事件が起こった。社長のビデオがyoutubeにアップされているが、「労働基準法を守っていたらこの会社は成り立たない」には唖然とする他ない。労働基準法は理想ではなく、あくまでも最低基準だ。これを守れない会社は存在すべきでなく、直ちに潰れて良い。ましてや、社長が華々しくテレビに登場することなどあり得ない。

農家が実習生に頼ることは、結局は労働賃金の水準引き下げにつながり、結局は自分の首を絞めることになる。農業に対しては、国が環境保護・景観保護・食の安全確保への貢献を認め、適正な支払いをするべきだろう。その財源は、もちろん公共事業の抑制と軍事費の削減しかない。

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