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茨城空港の目隠しフェンス [社会]

茨城空港は数年前に出来たローカル空港なのだが、わけがわからない事が多い空港ではある。羽田や成田にも、そう遠くないのだから、必要性に乏しい。羽田にでも飛んでくれれば乗り換えも出来るのだが、近すぎてそうも行かない。一流航空会社はもちろん乗り入れないから行き先が極めて限られてしまう。

良いところは、便数が少ないのに広い無料駐車場があることだ。車で乗り付けて、そのまま飛び乗れるから手軽だ。満席ということもあまりないから切符も取りやすい。帰りは新幹線で帰ったりした場合、東京から茨城空港までの直通バスが500円で乗れる。JRで普通に来れば2200円かかる。このサービスを含めて県は、路線を維持するために多大な補助金を出しているのだが、その言い訳に「乗客は少ないけど利用者は多い」と言うのがある。

なるほど、空港はけっこう賑わっている。2階の展望デッキに人は多い。飛行機を見に来る観客が多いのだ。旅客機のほかに、自衛隊のジェット機なども見られるから、航空ファンにとっては、いい場所かも知れないし、他に遊びに行くところも無い近隣の茨城県民にとっては、格好の暇つぶし場所でもある。農産物の直売とかもやっている。

その見物客に圧倒的に不評なのが、展望デッキのフェンスである。デッキにはガラスフェンスが張り巡らしてあるのだが、これが特殊なもので、正面しか見えないように出来ている。目の前に来た飛行機は見えるのだが、斜め方向から飛来してくる様子は見えない。離陸着陸が見たいのに、止まっている飛行機しか見えないことになる。

もともと百里基地という自衛隊飛行場に平行滑走路を増設して空港にしたのだから、正面には自衛隊基地がある。自衛隊基地の軍事機密を守るために作られたフェンスだというのであるが、それにしてはおかしい。自衛隊基地は正面だから丸見えだし、端の方に機密部分があるとも思われない。 第一、フェンスは隙間がいっぱいあって、そこから見えるし、カメラのレンズを差し出すことも出来る。米軍基地だって、外からの見物を制限したりしない。そんな外から見えるところに秘密をさらしたりするはずがない。かなり高額の費用を掛けているが、機密保持のためには役立たずでしかない。

百里基地には、長い反対運動の歴史がある。基地を作るために農民を追い出したりしたからだ。反対運動で、日本最初の女性首長を生んだ盛り上がりもあったのだ。今でも、自衛隊の誘導路は反対運動が作った「平和公園」のために、「くの字」に折れ曲がったままになっている。

おそらく、茨城空港は、県の箱物行政と自衛隊の癒着で生まれたものだろう。自衛隊としては、滑走路を増設して使いにくい誘導路を解消できるし、県は、土木業者に税金を振り撒ける。空港がある都会県として威張りたいというアホな側面ももちろんある。

自衛隊との協議の中でこのフェンスが持ち出されたにちがいない。空港の斜め左に、自衛隊が見せたくないものがあるのだ。それは、通称「違憲山」と言われる小高い丘でそこには「自衛隊は憲法違反」という大きな看板が立っている。反対運動の名残だ。自衛隊としては目障りこの上ない看板で、これが大勢の見物客の目に留まることだけは避けたかっただろう。そのために多大な金を使ったのである。この看板も、だいぶ朽ちてきて目立たなくなって来ているので、評判の悪いフェンスを取り替える計画もあるらしい。

よく見えるようになってから、「自衛隊は憲法違反」の大看板をリニューアルすると面白いことになる。フェンスを復活する表向きの理由説明が難しいだろう。
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