SSブログ

朝日新聞の誤報謝罪 [社会]

朝日新聞が、勇み足を謝罪するケースが相次いでいる。原発で、吉田調書の内容をすっぱ抜いて、「吉田所長の命令に反して950人が逃亡した」と報道したわけだが、公開された調書では「第一発電所内の、放射線レベルが低いところに退避しろと指示したつもりだったが、第二発電所に行ってしまった」と述べている。確かに正確ではないが、東電の幹部社員たちが、早々と第一発電所を出てしまったのは事実だ。東電の無責任体制という評価を根本的に覆すものではない。なぜ、これほどまでに謝罪を大きく取り上げるのだろうか。

さらに不思議なのは、25年も前の慰安婦報道について、今頃、記事の取り消しを行ったことだ。朝日新聞は吉田清治の『私の戦争犯罪』を大きく取り上げて報道したが、内容がずさんで、研究者からは、あまり相手にされなかった。朝日新聞自身も、1997年3月31日に吉田の「著述を裏付ける証言は出ておらず、真偽は確認できない」との記事を掲載した。この誤報については、ずっと以前に決着済みとも言えるものだ。インドネシアなどでの慰安婦の強制連行については、いろいろな証拠が出ているし、とくに『私の戦争犯罪』の真偽が問題になるわけでもない。

それを、今頃、大仰に謝罪して見せるのはどういうことだろう?

安倍首相がマスコミ対策を周到に行っており、新聞社の社長たちと会食に余念がないことは良く知られている。新聞社はいずれも、ネットとテレビに読者を奪われ、経営が苦しい。政府広告などの収入にも依存しなければならない状態が続いている。読売サンケイなどは、まったくの政府広報紙になり下がっており、たとえば、沖縄の辺野古基地に反対の世論調査結果を「反対は予想を下回る55%」などと報道した。よく見れば賛成はたったの7%しかないのにだ。

こういった「政府すりより」が、新聞の標準となって来ているなかで、朝日はそこまで政府に従順ではなかった。政府からの圧力は多大だと思われる。朝日が断固とした姿勢をもっているわけではないことは、消費税報道を見ればわかる。消費税導入の直前には、他社と並んで賛成キャンペーンに参加していた。朝日の中には、政府べったり経営陣もいることは確かだ。

今回の「謝罪」は、朝日の経営陣が安部政権に屈服して、編集局の入れ替えで、路線変更を策したものかも知れない。今後の朝日の報道姿勢には注目していく必要があるだろう。右派一色のマスコミが、ずるずると日本を奈落の底に引きずりこんでいくことだけは避けて欲しいものだ。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。