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なぜ野菜は安いのか---TPPの陰謀 [社会]

日本の農業は窮地に立っている。収入の柱であった米価は、またもや爆下げである。それなら野菜で勝負ということになるが、こちらも、なかなか農家の収入を十分支えられるほどの値段ではない。

なぜ、こうも農産物は安いのか? 安い輸入品に負けているからだということになるが、ではなぜ、輸入品は安いのか。東南アジアなどの賃金の安い国だから安く作れるのが当たり前だと解釈している人もいるが、実はそれだけで説明はつかない。

こういった地域の農業は、もともと自給自足的なものであった。とても、大量に輸出するような生産量はない。こんな所で大量買付けをすれば、品薄でたちまち値段が高騰する。日本が輸入するおかげで、アジアの農民が豊かになったという話もついぞ聞いたことがない。アジアの農民は相変わらず貧しい。

実は、輸入されているのは、アジアの農民が手塩にかけた農産物ではない。アメリカを始めとする先進国から乗り込んだ大手農業会社が、機械化された大規模農場で、安い労働力をつかって作った輸出農産物なのだ。日本の農家は、こういった農業会社と競争させられている。

農産物の原価は、苗と化学肥料と農業機械。これらは世界中どこでもあまり変わらない。労働力コストの違いは、決して小さいわけではないのだが、一部でしかないことは確かだ。豊富な資金力があれば、農業会社のビジネスモデルは、どこでも成り立つ。貧困対策とか開発援助と称して、開発途上国に供給された資金の多くが、こういった農業会社に流れ、労働者を搾取した輸出農産物の生産に使われている。

日本であっても、こういった農業会社生産は可能だ。広大な土地に、機械化で、だれでもできるようになった農業労働を注ぎ込む。非正規雇用で、田植え時とかだけ働かせれば、労働コストも抑えられる。少なくとも、アメリカ以下の価格で生産できることは確実だ。外国からの輸入には運送コストがかかるから、もちろん国内生産で太刀打ちできる。「攻めの農業」として、日本でも、こういった新しい農業生産がもくろまれている。

ただ1つ問題なのは、農地の値段だ。日本の農地はアメリカの4倍ほどもするから、これを値下げしないことには始らない。そのために、現在の農業を一旦つぶしてしまう必要がある。TPPで、どんどん安い農産物を輸入し、農業を破綻に追い込む。農地の価格破壊が、その目的である。

都会地に近い農地は宅地化されたりするが、地方の農地は使い道がなく、買い手がないので地価が暴落する。これを農業会社が買い集めるという仕掛けだ。おそらく「農業振興」の補助金も多くは、利権がらみの農業会社がせしめることになるだろう。これが陰謀である。

土地を手放した農民はどうなるか? 都会に出て労働者になるしかない。非正規職場を点々とすることになるだろう。晴れた日には、ケータイメールで集められて、バスに載せられて農作業に赴く。かつては、自分のものであった農地で時給800円を稼ぐことになる。

安倍総理はアメリカ議会でTPP受け入れの演説をするらしい。着々と「攻めの農業」への道が進められている。

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