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社会福祉の削減スパイラル [社会]

社会福祉費用が、年々増大している。あの冷酷な安倍内閣でさえ社会福祉予算の絶対値は増額せざるを得ないほど経費の増大が激しい。政府の対応は、福祉の質を落として費用を抑制することだが、そんなことでは追いつかない。

実は医療費の増加は避けようがないものだ。医学の進歩で人間が長生きできるようになったのだから、当然費用がかかる。一度の大病で死んでいた人間が、2度3度まで命を取り留めるのだから、その度に費用をつぎ込まなくてはならない。もちろん、効率的に運用することは大切だが、それだけで収まらず、一人の人間が死ぬまでに使う医療費の額は必ず増大して行く。

医療費に限らず、介護や生活保護などの社会福祉も、自分で稼げなくなる年齢まで生き延びる人が増えれば自然に増えていく。ところが、政府は「税と社会保障の一体改革」などという無茶苦茶な方針を立てている。防衛費や政党助成金、バラマキ予算といった無駄遣いは一切減らさず、社会保障費の増加ははすべて増税でまかなうと言うことだ。

福祉が国家予算を圧迫するなどと考えるのは本末転倒である。食うため、命をはぐくむために働くのが人間の本性であり、それを社会的に実現するために国家がある。外交努力で軍事費を減らしたり、政府運営費など他の支出を抑えたりして、福祉のための予算をいかに作り出すかが政府の腕の見せ所なのだ。日本国憲法は25条で、福祉の充実が国家の使命であることを、はっきりと謳っている。

現在の政府にこういった認識はない。消費税を増やして低所得者の生活を困難にする。税収を増やすことを名目に企業活動ばかりを優遇する。最低賃金を低くとどめて、非正規雇用を増やす。年金も減額して支出を抑えるようにする。憲法9条だけでなく憲法25条もないがしろにする悪質政府の所業だ。

しかし、これで財政が助かると思ったら大間違いだ。結果的に低賃金労働を生み出し、無年金者を増やすことになる。若者の多くが非正規雇用で、将来の無年金者は今の数どころではなくなる。年金があったとしても、減額されて、足りないことになる。

低所得者の圧迫や年金の減額で生活保護が増大するのは避けられない。すでに生活保護はうなぎのぼりに増え始めている。生活保護の多くが老齢者である。今のところ、これにはまだ非正規雇用世代が含まれていないのだから末恐ろしい。すでに国民年金加入者の23%238万人が2年にわたって不払いになっている。

生活保護費が増大するため、結局、社会福祉費用は減らない。おそらく政府の対策は、生活保護の需給制限だが、そんなことで追いつくはずがない。老人ホームの入居費用に月12万円はかかるが、これを独居老人が稼げるはずもない。非正規雇用の未婚率は高く、無年金老人に身寄りがない場合が予想される。すでに特養費用の多くが生活保護費から支払われている。こういった人たちの医療費も当然、国の負担となる。非正規雇用が50%というのが、どれだけ危機的な状況なのかわかっていない。

需給制限が行き詰ったら、次に政府が考えることは、生活保護費の削減あるいは社会保障の放棄だろうが、これも場当たり的な対応でしかない。最低限の社会保障を削減すれば、犯罪率の増加につながることはアメリカなどの統計でもあきらかだ。警察費用。刑務所費用の増大は、社会福祉費用の増大を上回ることになる。今の政府の発想では、こういった費用の増大がさらなる福祉の削減を生み出す。

貧困の代償は大きい。大衆教育の不足が起こる。労働力の質の低下だ。新興国が生産力を高めて行く趨勢の中で、労働力の質が産業育成の決め手になるのだが、日本は決め手を欠くことになるだろう。これでまた税収が減り、福祉の削減が進む、際限ない削減のスパイラルが始まる。

行き着くところは、貧困による短命化だろう。荒廃という一語につきる未来が見えてくる。もはや政治を変えるしかない。
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