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半導体産業の破綻と日本の未来 [社会]

エルピーダに続いてルネサスも破綻し、日本の半導体産業は全滅しつつある。危機に瀕して岩だらけの小島の問題などにかかわっている場合ではない。

破綻の原因として円高による競争力の低下が挙げられているが、これこそ国策の誤りを示すものだ。言うまでもなく為替レートは輸出入のバランスで決まる。日本は輸出ばかりで、輸入する購買力がない。つまり、国内需要が少なすぎるのだ。日本人の給与水準が低く、輸出に見合うような国内消費ができない状態が続いているのが原因だ。

経済は常に鶏と卵で、会社の業績を良くしないと給料は上げられないなどといわれるが、鶏がわにも卵側にも力が働き、相互にバランスが取られるべきなのだ。ところが、日本では連合ができて以来、全くと言って良いほどストライキがなく、給料は経営者の一存で決められる状態になっている。

資本主義の本家アメリカでさえ、ストライキは頻繁に起こり、教員や港湾労働者ではストライキが年中行事になっているし、警官でさえストライキで賃上げを要求する。こういった圧力で企業は経営が苦しくても仕方なく賃上げをする。結果的にアメリカでは20年前と比べて給与水準は確実に2倍になっている。日本ではむしろ下がっているくらいだ。

日本でこの20年一貫して取られてきたのが人件費の削減政策であり、リストラであった。事実、この間伸びたのは、ファミレスにしろコンビニにしろ宅急便にしろ、安いアルバイトを使うビジネスばかりだ。法人税を安くしたから、何の技術開発もなく、人件費を安く買い叩けばそれだけで会社は利益を出せる。そんな環境では、技術開発を軸にすえた会社経営をするのはアホでしかないことになる。

エルピーダもルネサスもいわゆるハイテク産業であり、決して労働集約型ではない。日本の人件費が高いから競争に負けるなどという事はあり得ない。DRAMからNANDへの転換ができない技術開発の遅れが大きい。人件費の削減ばかり追求して、技術開発を怠ってきたつけが回ってきたのだ。

この問題は他の分野にも波及する。家電などの破綻はすでに始まっているし、鉄鋼が破綻するのも遠くないだろう。薬品・化学は地盤が消失しつつあるし、自動車は多国籍企業として日本から脱出の準備をしている。

今、政治が取り組むべきことは、血を流してでも賃金水準を上げることだ。アルバイト搾取会社には潰れてもらい、地道に技術開発する会社を育てて行かねばならない。財界と競合できるくらいの強力な労働運動も日本を救うカギとなる。

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