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オフショア開発がもたらすもの [社会]

「オフショア開発」という聞きなれない言葉を耳にする。研究開発を外国特に開発途上国でやることだ。

工場の海外移転による空洞化が問題となって久しい。人件費がかかる国内生産よりも海外生産がもうかるということで、企業はいっせいに工場の海外移転をやりだした。おかしなことに、政府はこれに補助金まで出している。何の政策もなく、ただ企業を応援するのが補助だと考えているバカ政府を持った国民の悲劇だ。

工場移転とは技術の移転をも意味する。タイの洪水で部品の現地生産ができなくなったとき、日本の工場で作ろうとしたが、現場技術がなくで、タイから技術指導に来てもらったということがあった。工場移転が技術も移転してしまうことを如実に物語る事例だろう。

空洞化は技術から開発にまで及んできている。設計技術者は海外のほうが低賃金だ。とりわけ、頭数の必要なソフトウェア開発は中国に持っていくことが多くなってきている。オフショア開発の意味するところは、技術開発能力の流出である。

中国の賃金もどんどん上がってきており、あと10年もすれば日本と変わらなくなる。そのときどうなるかと言えば、日本には技術者がいなくなっている。大型の開発に必要な大量の技術者が供給できる中国の優位は動かない。

この10年、日本が行ってきた経済政策はすべて目先の事だけを考え、長期的には自分の首を絞めることばかりだった。結果として、この10年に成功したビジネスはすべて、多数のアルバイトを雇ってそのピンはねを収入源とする業種ばかりだ。

ユニクロも、宅急便も、携帯販売も、ファミレスもすべて、アルバイトを安い賃金で雇うことで利益を生み出す企業でしかない。こういった企業を育成することばかりやって、正社員を主力としてまともにものづくりをやったり、新製品の開発をやったりする企業を圧迫してきた。 あからさまな圧迫とは言えないが、企業は絶えず競争のもとに置かれているのだから、こういった低賃金が生み出す利益に依存した企業を野放しにすること自体がまともな企業に対する圧迫である。

もうかっている会社の社長の言うことばかり聞く政府がこういったことの原因である。 法人税を安くして、消費税に切り替えたりするのは、企業を応援するように見えるが、「安易な企業経営」を応援しているだけで、実は日本の経済活動を長い目で見れば阻害しているに他ならない。

企業は小手先のリストラでは儲からないように、技術開発で利益率の高いものを生み出さねば生きていけないように厳しくしつける必要があるのだ。そうすれば正社員が増え、研究開発も増え、将来への展望も出てくる。もちろん、企業にとってそれは厳しいことだろうが、どの企業もそれに耐えていかねばならない。

今のようにどんどん、低賃金化、アルバイト化を進めていったのでは、全く未来がなくなる。
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