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国民年金と生活保護の比較 [社会]

国民年金の金額があまりにも少ないので、生活保護の方がましだなどと言うことを聞く。単純比較ができる老齢単身者で比べてみると、国民年金が月額65000円で生活保護が63000円となるから、大差はない。40年間毎月15000円払ってこれだから、国民年金に加入するのがバカらしくなるのも、もっともだ。

しかし、話はそう単純ではない。生活保護には制約が多い。家は売り払ってからでないと受給できない。貯金は5万円程度以上はできず、事実上没収。アルバイト収入も実質上没収というわけだ。年金暮らしなら、同じように厳しくはあるが、ちょっとアルバイトをしてその金で旅行するとか、現役時代に買ったボロ家に住んで家賃を浮かすとかの工夫ができる。毎月5000円を積み立てて中古車を買ったりもできる。年金は自由のためにあるといってよい。

実際、農家で自分の持ち家があり、食料は自給できるような人にとっては、月65000円の現金収入は、そう悪い物ではない。もちろんこんな人は生活保護の対象にならない。国民年金は本来そのような人を対象にしている。ところが、現在では不安定な都市労働者が国民年金の対象者になっているから問題が起こる。

一番馬鹿馬鹿しいのは中途半端に年金があることだ。一度でも定職についてしまうと給料天引きで、自動的に年金を払ったことになる。本人だけでなく配偶者の分も合算される。この年金が生活保護レベル以下だと、生活保護の支給対象になるのだが、生保の制約をフルに受けてしまうのだからたまらない。年金も貯金も没収と変わらないことになる。

定職に安月給で10年働き、失業してアルバイト生活が長いなどという人が一番つらい。年金が月6万円。これから家賃や水光熱費も出さなければならない。苦しいから生活保護を申請すると僅か月5000円のために全ての自由を失うことになる。実は日本にはこういう人が多い。生活保護の44%が65歳以上の老人なのだ。 逆に、それくらいなら生活保護なんか受けずに我慢するよと、月5万円の年金で暮らしている人も多くいることになる。

若い人で、年金に加入したことはあるが、今は払っていない人がいるなら、意地でも毎月15000円を払って生活保護以上の年金を確保しておくことを薦める。そうでないと払った分が丸損になるからだ。80才まで生きれば、この低金利の世の中、あらゆる金融商品の中で、国民年金は一番利率が高い計算になる。厚生年金が少しでもあれば、月10万円の年金は何とかなる場合が多い。これから生活保護の受給者が増えるとますます風当たりが強くなり、制約も多くなる。

金額に関しては、家族がいる場合の生活保護が毎月25万円にもなることが話題になることもあるが、これは若い子持ちの人の場合で、年金との比較にはならない。ワーキングプアに比べてかなり高いが、これは、生活保護が単に喰っていくためのものではなく、「生活保護からの脱出資金」を含んでいるからだ。親が貧乏だからと言って子どもが高校にも行けないのでは負の連鎖になる。金額が直ちに余裕になるわけではない。実際、育児と労働に追われる親の場合、賢く買い物をする余裕がなく、生活費が高くもなるのだ。早い話、家で調理すれば安いものでも、外食ならきわめて高い。このあたりは生活を単に金額では比較できないところだ。

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