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アベノミックスで日本はどうなるのか [経済]

アベノミックスに関しては、いろいろと批判がある。

「アベノミックスが不評なのはなぜか」でも書いたように、アホノミックスと言われるくらい理屈が成り立っていない。通貨膨張も、投機マネーに吸収されて実際の物価上昇にはつながらないという見方もあるくらいだ。インフレターゲットが達成される前に通貨不安を引き起こすのが関の山などと言うのが大方の意見だ。

しかし、たまたま景気変動の回復期に当たっただけであるにせよ、現実に株価は少し上がったし、大企業の業績も、中には向上しているところがある。金が儲かった富裕層が高級品を買い出しているという観測もある。かつてリーガノミックスがそうであったように、時期がうまく合えば、心理効果だけでも、経済が上向きになったと評価される結果をもたらすことがあるのだ。

では、もしアベノミックスが公約どおり、うまく働いたらどうなるかを考えてみよう。年5%位のインフレになり、食料や衣服には金がかかるようになる。それに合わせて給料の方も5%くらい上がる。時給800円が804円になると言うわけだ。しかし、消費税が10%になったら、結局、生活は苦しくなるだろう。消費税以上に賃金が上がるというのは、想定外にせざるを得ない。

消費税を上げる代わりに法人税を引き下げて、世界で一番企業活動がやりやすい国にすると言うのが安倍首相の構想だ。法人税を下げたら、今まで赤字だった会社が黒字になるかと言うとそうではない。もともと、赤字会社には法人税がかからないのだから、赤字会社に税率はあまり関係ない。

円高になるから、部品を国外から調達していた会社は苦しい。材料を100円で輸入し、加工して200円で売っていた会社は、仕入れが120円になり、これを220円で売ることになるだろう。加工費100円を120円に値上げするのは難しかろう。値上げしなくとも、この加工費から消費税増加分がさし引かれる。多くの中小企業が、なんとか食っていくために、赤字を増やして行くことになる。

潤うのは、利益率は少ないながらも、低賃金で経費を抑えて、うまく利益を出していた会社だ。居酒屋チェーン、ファミレス、宅急便などは、ますますやり易くななる。派遣会社なんか、輸入部品もないので、円安の影響もない。大企業は、黒字に対する課税も少なくなるし、輸出による消費税の払い戻しも大きくなるが、設備投資をやる対象がないので、ますます内部留保を増やすだろう。

結局のところ、もの作りを担う中小企業はますます苦しくなり、パート・アルバイトを活用した低賃金労働で利益をあげる会社がますます発展する。トータルで、GDPの上昇を達成し、安倍首相が「アベノミックスは成功した」と主張する状況になるかもしれない。しかし、こういった低賃金産業が潤うということは、非正規労働人口がますます増大することになる。時給は、804円に上がるけれども、その多くは、月給30万円から時給804円に移行した人たちだということになる。

アベノミックスは、通貨不安を引き起こして失敗するだろうが、うまく作動したとしても、ブラック企業の雇用率を増やすばかりであり、総ブラック企業化政策に他ならない。



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