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これからの日本はどうなるか(2014) [社会]

2013年は安倍政権の登場で始まった。民主党政権の期待はずれが禍して、国民は新政権に経済回復の希望を託してしまった。公共投資と企業減税・金融緩和などという旧態依然とした政策ではあったが、期待が集まってアベノミックスなどと言われた。丁度、経済変動の節目に当たったので、GDPの回復も起こり、年末はかなりの株高となった。富裕層はこれで潤い、アベノミックスが、庶民の賃金にまで波及するかどうかと注目されている。

結果的に、庶民が潤うことはないだろう。アベノミックスがもたらしたのは円の安売りである。株価はまだ上がっているとはいえ、国際収支は、赤字が続き、ついに貿易外収支も含めた経常収支まで赤字となっている。今後、輸入物資の値上がりが続くから、大幅賃上げなしには庶民の生活は苦しくなる。消費税の値上げはこれに追い討ちをかけることになるだろう。インフレによる実質的な賃下げが行われることになる。これまで進められてきた非正規雇用による輸出のためのコストダウンが、新たな形態で続くだけだ。国民の我慢の限界がどのような形で現れるのだろうか。

アベノミックスがやったことは、企業減税だけでなく、公共事業や軍事発注を乱発するばら撒きであるから、国の財政赤字は、ますます増大し、過去最高となっている。これを、消費税収入で補うつもりは見られない。収入増があれば、すぐにばら撒きを始める体質は変わっていない。赤字をもっぱら、社会保障の切り下げでこれを補おうとするから、社会不安は増大する。秘密保護法でおさえつけたり、対外敵愾心をあおることで、矛先をそらしたりする小手先の方策がどこまで続くかのものだろう。

アベノミックスは、米国と株式市場の活況を同期させていることが一つの特徴と言える。これまでは、景気の波がアメリカと日本では違っていたのだが、今回から同期するようになtった。これは、世界経済との連携性が決定的に強まったことを意味する。富裕層の得た金は、消費にまわらず、ますます金融市場に向かい出す。1つになった金融市場はさらに規模を拡大し、実体経済をさらに翻弄することになる。

こういった経済環境の中で、アベノミックスは下降局面にはいる。今年の後半には、消費税不況が明らかになるだろう。株価の下落により引き起こされる経済不安は、国際収支や財政赤字との連携で加速され、東京株式市況をきっかけにした世界的な株安ショックが起こるかもしれない。次の不況の入り口としてこういった株価変動は十分ありえる。物価高の中での不幸だから、生活にとっては厳しいものにならざるを得ない。

こうした経済環境にひたすら歴史に逆行するような、ボナパルティズムを前面に押し出す安倍内閣ではあるが、世界の動きを止めることは出来ない。中国やインドの工業生産は引き続き増大していく。携帯電話ひとつにしても、中国では8億もの加入数になった。日本の市場規模とはまるでちがう。中国の工業技術は確実に進歩している。「中国製品は品質が低い」などという状況は長く続かず、ここ2,3、年で、中国製の人気一流ブランドといったものも現れてくるだろう。

アジアは変貌してきており、ASEAN諸国でも経済の離陸が始まる。しかし、日本の政治状況は右傾化からなかなか出られないだろう。経済が行き詰ると、それを外向きに転化しようとする宣伝は強まる。インターネットによる世論形成の大衆化は、一時的ではあるかもしれないが、情報操作しやすい大衆を世論の前面に押し出すからだ。アジアでの日本の孤立化が懸念される。

ヨーロッパは、統合の負局面が現われて、かなりの経済危機が訪れたが、落ち着きを取り戻すことになる。しかし、アフリカからの人口流入などの基本的な問題は続かざるをえないので、急激な立ち上がりはない。ただ、国際ファンドの横暴に対する規制は、ヨーロッパを中心に進展するかもしれない。国際金融取引税の導入や、法人税の引き下げ競争を防止する協定なども、ヨーロッパから始まるだろう。

アジアの隆興には、まだ時間がかかり、ヨーロッパもということで、アメリカは引き続き世界をリードすることになる。アメリカは、三権分立や地方自治、一応の民主主義を保ち、結果的に軍事への依存も自浄的に抑えられる強みがあり、まだしばらくは隆盛を保つことになりそうだ。しかし、アメリカ企業は、国際資本として軸足を海外に移して行くのが明らかなので、アメリカ国内にどれだけ繁栄が続くかは定かではない。

いずれにせよ。こうした大きな世界の動きに対して、時代錯誤的な感覚で対処しようとする日本は、やはり、世界の趨勢には取り残されてしまわざるをえない。世界から完全に孤立する前に、日本人が気づいて方向転換できるかどうかが、これからの日本再生のカギになる。

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