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賃金は上がるか [社会]

アベノミックスを宣伝する政府は、会社ばかり儲かって、労働者には何の恩恵もないという批判を鎮めるために、会社が儲かればやがては賃金があがると説明した。どうやら、今年は、自動車メーカーなどが、14年ぶりの賃上げを認めるらしい。それはそうだろう。消費税が上がるのだから、このままでは新たな賃下げと同じことだ。

連合傘下の自動車労連などが、会社に要求した賃上げがいくらかというと、定昇を除いた純増月額3500円だという。これを会社がどの程度認めて、さらに下請けや中小企業にどの程度波及するかは今後の推移によるというから、上限3500円ということになる。

3500円といえば、月給35万円の場合、1%でしかない。一方で、消費税は3%上がるというのだから、これは、結果的には賃下げになる。生活防衛のためには支出を切り詰めるしかない。支出を切り詰めれば、売り上げは減るだろうから、売り上げにたよる商店などはますます厳しいことになる。

国家財政は安部政権になって以来、赤字を最高にしているが、この借金で公共投資のバラマキが復活しているから、建設投資や住宅投資は増えているという。消費税増税の前の駆け込み需要を含んでいるから、なんともいえないのだが、建設業界などでは、人手不足も起こっているから、この分野では、賃金の上昇があってもおかしくないが、それが起こる前に経済が冷え込んでしまう可能性もある。

2013年に労働者1人が月々もらった現金給与総額は平均31万4054円で、前年を73円下回り、過去最低を更新した。庶民にとっては、アベノミックスなるものの恩恵はないのだが、金に余裕のある部分はちがう。すでに株価の上昇があるので、金持ちは潤っている。そもそも、金持ちは消費税の影響を受けない。社長は、毎日会社の金で、役員会の昼食とか、接待で晩飯だから自分で払う消費税は少ない。格差はますます増大する。

金持ちも、金をいずれは使うのだから、そのときに消費税を払うことになると考えたのだが、どうも違うらしい。金持ちは金を使い切らない。収入の大部分が金融投資に向かうばかりで、決して消費に回らないようだ。金融商品ばかりが売れて、いまや株式市場にある金が、生産・消費を循環する金の何倍にもなっており、さらにこれが増えている。

本来「金は天下の回り物」だったのだが、回らない金ばかりになるというのは、やはり経済の奇形だろう。円安になったのに、さっぱり輸出が増えない。自動車メーカーなどは国外に生産を移してしまっているから、輸出の増やしようがない。他の産業も、部品調達や原料調達を国外に依存しているので、円安で輸入価格が上がれば同じことだ。

必要なのは、国内に生産を呼び戻すような地道な構造転換だろう。こうした奇形経済の下でそれが簡単に達成されるとは思えない。政府が思い切った賃金上昇政策を取るしかないのだが、今のところその気配もない。過去には1960年代に池田内閣が「所得倍増計画」というのを打ち出したことがある、自民党政府だってやれないことはないのだが。

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