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東京オリンピックは成り立つのか [社会]

1964年の東京オリンピックは日本に高度経済成長の加速をもたらした。高速道路や新幹線さらには、電話やテレビの普及や給与上昇にまで貢献するという大きな効果があった。しかし、今度のオリンピックでいったい何が期待できるだろうか。社会は変化しており、オリンピックがもたらす効能も柳の下のドジョウというわけにはいかない。第二新幹線を走らせたとしても、最初に新幹線を走らせた時のようなインパクトがあるはずがない。しかし、同じような金はかかるから、馬鹿なことだ。

それどころか、まともな開催ができるかどうかも危うい。安倍晋三が、原発事故が片付いたかのような嘘までついて引っ張って来たのだが、2020年に、どれだけの日本人がのんびりオリンピックを楽しめるだろうか。2014年には株価が上がったりしているが、これはアベノミックスによるというより、順当な景気循環が株価上昇の時期にあるだけだ。2020年には再び底になっているだろう。若者の半分は非正規雇用で、オリンピック見物どころではない。年寄りも年金が減額されて青息吐息だろう。ひょっとしたら、憲法を変えてどこかで戦争をしているかもしれない。人口そのものが今よりかなり減っているはずだ。

働く人たちにはもちろんオリンピックを見に行く暇はないのだが、それだけでなく東京に観戦しに行くにはとんでもない金がかかることが懸念される。ホテル代はとてつもなく跳ね上がるだろう。何しろ、オリンピックが終わればがら空きになることが決まっているのだから、ホテルだって、やみくもな設備投資はできない。ホテル室数は、会場を埋めるのは、決定的に足りない。だからホテル代は高騰する。

世界のホテルチェーン、たとえば、ヒルトンとかマリオットは、ことごとく東京進出に失敗した。一極集中で、本社のほとんど全てが東京に集中しているのだから、社用であってもホテルの需要は各国に比べて極端に少ない。かつては、日本的経営で、会社の慰安旅行なども多かったのだが、いまや、非正規雇用が増えてそんなものもなくなっている。だから、観光客は土日にしか来ない。土日しか客が来ないところで、営業は難しい。観光地のホテルはどこも値下げ競争で激安になっている。オリンピックの短期で設備投資は回収できない。

日本人の働き方の問題が根底にある。年休20日が法律上保障されているのだが、消化率が極めて低い。日本以外では、年休を消化するのは当たり前のことなのである。どこの国でも時は金なりは浸透しているから、日本のようにサービス残業などあろうはずがない。残業代を払わないなどというのは、泥棒であり、犯罪行為とみなされている。労働組合がそんな犯罪は許さないのが普通なのだが、日本では大企業の労働組合は完全に会社の手先に成り下がっている。

オリンピックは、選手だけでなく、設備だけでなく、観客という大きな要素があって成り立つ。日本は、オリンピックを開催するにふさわしくない国なのだ。安倍晋三や石原は、何の見通しもなく、自分がイベントで盛り上がりたくて飛びついただけのことだ。

社会的にも、これまでのオリンピックとは大きく異なっている。どこにでもある大型液晶テレビは、おそらく3D画像を4Kあるいは8Kの精細さで映し出し、インターネット経由で、各種競技のチャンネルが無数にできる。これは、技術的な話で、実際には濡れ手で泡の儲けをたくらむやからが暗躍するから、放映権などということで、すったもんだする。この問題で、日本政府とオリンピック委員会が、世界から顰蹙を買うのは、今既に見えている。

それでも、ある程度の観戦は、いながらにして行えることは確実だ。それも画面の迫力はこれまでとは格段に違う。わざわざ暑い会場に、安い給料のなかから、多額の出費をして、出かけて観戦する日本人がいるのだろうか。いや、遠くの外国からも人は来ない。遠い国から、出かける価値はほとんどなくなっているだろう。

考えられるのは中国、韓国からの観戦者くらいのものだろう。世界人口の1/4は中国人だし、距離的にも近いから2020年のオリンピック外国人の多くが中国人になるのは避けがたい。中国の富裕層は、ある程度高いホテル代を払ってでも来てくれる可能性があるが、日本政府の対応いかんで、これがなくなる可能性すらある。やたらと中国を刺激する政策を連発しているからだ。

まばらな観客席の会場で、選手たちはテレビカメラだけに囲まれて競技をするはめになりかねない。これはもうオリンピックではない。


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