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定額使い放題の社員 [社会]

産業競争力会議が、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を打ち出した。どういうことかというと、意欲的な社員に対しては、8時間労働などという枠をはずして、成果のみで評価する多様な働き方をやれるようにしようということだ。極端に言えば、ある日は出勤せず、家でじっくり構想を練る。ある日は、徹夜でガンガン企画書を書くといった働き方だということだ。

裏を返せば、残業代なしで定額使い放題の社員ということになる。ブラック企業による悪用を防ぐために、年収1000万円以上の労働者に限るという歯止めがついているし、本人の同意も必要だから安心だとしている。

本当に安心だろうか?

現在も、管理職になれば残業代はつかない。1000万円以上も給料を払っているのだったら、管理職待遇にすれば良いだけのことだから、何も労働法を変えることもない。管理職でなくとも、裁量労働制というのもあって、SEとか研究・企画・立案・調査・分析の仕事は、残業代なしの待遇にすることもできる。冒頭にあげた例は企画だからこれにあたり、適切ではない。

実は裁量労働は完全な「定額使い放題」ではない。実際の拘束時間によらず、8時間とみなすということで、あくまでも8時間労働が基本にある。だから、深夜とか休日に出勤した場合は手当てを出さなくてはいけない。ホワイトカラーエクゼンプションは、深夜も休日も手当てなしで働くというものだ。

一般の仕事で、年収1000万円というのは、非常にまれだが、大企業で管理職直前の人にはそういう場合もあるようだ。それも基本給が1000万円以上ではなく、残業代を含めると1000万円を超えるのだから、これは単に給与の1000万円頭打ちということになる。それでなくとも一番過労死の多い部分だから、法改正で死人が続出することは間違いない。本人の不同意など起こりようもない。

現状、あまり必要とも思われないのだが、わざわざ労働法の改正までやろうというのだからなんか怪しい。会議メンバーの竹中平蔵が“小さく生んで大きく育てよう”と制度設計の狙いを語っているのだからこれは恐ろしい。1000万円はやがて400万円に下がるだろう。実際、経団連の提言では、具体的に400万円という数字を出している。サービス残業が常態化しているが、これはあくまで非合法だ。サービス残業を合法化する手段として導入されるのがホワイトカラーエグゼンプションだろう。残業はすべてサービス残業」と言う事になる。

企業優遇もここまできたか。多くのサラリーマンはまさに地獄の入り口に来ている。社員はすべて「定額使い放題」になる日は近い。やりたい放題に対して、いい加減怒らなくてはならない。


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